ジズ
ジズ · ズィーズ · Ziz
ユダヤの伝承に語られる巨大な鳥で、海のレヴィアタン、陸のベヒモトと並んで空を治める。名は『詩篇』50篇11節の語に由来する。足は地につき頭は天に届き、翼を広げれば太陽を隠すという。終わりの日には、義人たちがこれらの肉を食べる宴が開かれるとされる。
解説
概要
ジズは、ユダヤの伝承に語られる巨大な鳥で、空を治める存在である。海のレヴィアタン、陸のベヒモトと並んで、三つの世界をそれぞれ一体ずつが治めるとされる。足は地につき頭は天に届くほど大きく、翼を広げれば太陽を覆い隠すという。終わりの日には、義人たちがこれらの肉を食べる宴が開かれると伝えられる。アブラハムの宗教の体系に含めて扱う。
三つの世界の主
ユダヤの伝承では、海をレヴィアタンが、陸をベヒモトが、空をジズが治める。いずれも創造のときに神が造った、比べるもののない大きさの生き物である。
名と姿
「ジズ」の名は、『詩篇』50篇11節の「野に動くもの」(ズィーズ・サーダイ)に由来する。ラビたちの解釈が、この言葉を巨大な鳥と読んだのである。ジズは、足を地につけると頭が天に届き、翼を広げれば太陽を覆い隠すという。バビロニア・タルムード「バヴァ・バトラ」73b には、その卵が落ちて割れたとき、流れ出たものが六十の町を押し流し、三百本の杉を倒したという話がある。
ただ一体であること
「バヴァ・バトラ」74b によれば、神はレヴィアタンを雄と雌に造ったが、増えれば世界を滅ぼしてしまうため、雌を殺して義人のために塩漬けにした。ベヒモトについても、増えないようにされたと語られる。
ペルシアとの関わり
三体の巨大な生き物という構図に、ゾロアスター教の影響を指摘する説がある。ペルシアの巨鳥シームルグや、原初の牡牛ガヴ・アエーウォーダータがその例に挙げられるが、直接の対応は確かめられていない。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、レヴィアタン、ベヒモト、ジズを描いた『アンブロジアーナ聖書』(南ドイツ、1236〜38年)の挿絵である。中世のユダヤの写本には、メシアの宴の場面として三体が並んで描かれた図がいくつもある。
系譜と関係
レヴィアタン、ベヒモトと三体をなす。
なおユダヤ教・キリスト教・イスラームは今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその伝承と観念の歴史に関する学術的な整理である。