ジズ
ジズ · ズィーズ · Ziz
ユダヤ神話の巨大な鳥で、海のレヴィアタン、陸のベヒモトに対応する空の支配者。足は地につき頭は天に届き、翼を広げれば太陽を隠す。三体は繁殖せず、増えれば世界が保たないため対を与えられなかった。終わりの日に義人が食べる。
解説
概要
ジズは、ユダヤの神話における巨大な鳥であり、ベヒモト(陸)とレヴィアタン(海)に対応する空の支配者である。
なお本サイトの分類では、アブラハムの体系に含めて扱う。
三つの領域
ユダヤの伝承において、三つの巨大な生き物が三つの領域を治める。
レヴィアタン。 海。
ベヒモト。 陸。
ジズ。 空。
創造の五日目。 これらは創造の際に神が作った、比類なき大きさの生き物である。
メシアの宴。 終わりの日に、義人たちがこれらの肉を食べる宴が開かれるとされる。
名と姿
「ジズ」の名は、『詩篇』50篇11節の「ズィーズ・サーダイ」(野の動くもの)に由来する。
解釈。 ラビの解釈が、この語を巨大な鳥と読んだ。
姿。 足は地につき、頭は天に届く。翼を広げれば太陽を隠すという。
卵。 その卵が落ちて割れ、六十の町を押し流し、三百の杉を倒したという話が伝わる。
補完する三体
なぜ三つか。 海・陸・空という三分は、『創世記』1章の創造の記述に対応する。
それぞれに支配者。 各領域に、比類なき一体が置かれる。
対の欠如。 これらは繁殖しない。神が対を作らなかった、あるいは一方を殺したとされる。増えれば世界が保たない。
唯一性。 唯一であることが、これらの生き物を規定する。
ペルシアの影響
三体の巨獣という構図に、ゾロアスター教の影響を指摘する説がある。
シームルグ。 ペルシアの巨鳥。
ガヴ・アエーウォーダータ。 原初の牡牛。
ただし直接の対応は確定していない。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、レヴィアタン・ベヒモト・ジズを描いた写本挿画である(『アンブロジアーナ聖書』13世紀)。
メシアの宴。 中世ユダヤの写本において、三体が並んで描かれる図が複数ある。
関わる神格・伝承
レヴィアタン、ベヒモトと三体をなす。
文化的足跡
『アンブロジアーナ聖書』(1236〜38年、南ドイツ)のジズの図は、この生き物の最も知られた表現である。
なおユダヤ教・キリスト教・イスラームは今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその伝承と観念の歴史に関する学術的な整理である。