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ユールゴート
PLATE — JULBOCKEN
NORÐR · 北欧神話
JULBOCKEN

ユールゴート

ユールボック · ユーレブック · ユールの山羊

クリスマスツリーに吊された藁のユールゴート(2007年)/撮影: Pilecka, CC BY-SA 3.0 CC BY-SA 3.0

スカンディナヴィアのユールとクリスマスに結びついた藁の山羊。収穫の最後の麦束に由来するとされ、仮装して家々を回る習俗や、贈り物を運ぶ役をも担ってきた。

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解説

概要

ユールゴート(スウェーデン語 julbocken、ノルウェー語 julebukk)は、スカンディナヴィアと北欧一帯のユール(冬至祭)およびクリスマスに結びついた山羊の像・存在・習俗の総称である。今日ではもっぱら、藁を束ねて赤い紐で結んだ飾りを指す。

ユールキャットグリーラと同じく、北欧神話の神格ではなく近世以降の民間伝承に属する。本サイトでは体系区分の都合上ゲルマン系の項目としてまとめている。

登場する物語

起源は判然としない。よく挙げられるのはトールとの関係である。この神は二頭の山羊タングリスニとタングニョーストが曳く車で天を渡り、山羊は屠って食べても骨さえ無事なら翌朝には蘇る。印欧語圏に広く見られる観念に連なるとされる。

もう一つの筋は農事に由来する。収穫の最後に束ねられた麦の束は、収穫の霊が宿るものとして特別に扱われ、ユールの祝いのために取り置かれた。この束が「ユールの山羊」と呼ばれる。

文献に現れるのは16世紀から17世紀である。最も早い言及の一つは、神学者ペーゼル・パラディウスが1537年から1560年ごろに書いたとみられる『巡察の書』にあり、そこではユールゴートが夜間の飲酒の習俗とともに地方議会(ランスティング)によって禁じられたと記されている。禁令の対象として記録に残るというのが、この習俗の最初の顔である。

役割は時代によって移り変わった。スウェーデンでは、クリスマスの準備が正しく行われているかを確かめに来る、目に見えない霊と考えられた。藁や粗く削った木で作った山羊もユールゴートと呼ばれ、これを隣家にこっそり置いてくるのが年末の悪戯だった。置かれた家は、同じやり方で誰かに押しつけて処分しなければならない。

イギリスのワッセイリングに似た習俗もある。クリスマスから公現祭にかけて、若者たちが仮装して家々を回り、歌をうたい、寸劇を演じ、悪戯を仕掛ける。17世紀から知られ、地域によっては今も続く。この一行のなかに、贈り物を要求する乱暴で恐ろしいユールゴートが加わることが多かった。11世紀の幼子殉教者の祝日の記録には、聖ニコラウスに扮した男が人の背丈ほどの山羊の像を引き回し、悪魔を制する姿を示したとある。

19世紀に入ると、この存在は贈り物を運ぶ側へ回る。家族のうちの男が山羊に扮して贈り物を配ったのである。やがて19世紀後半から20世紀初頭にかけて、その役はユールトムテ(サンタクロース)やユーレニッセに置き換えられ、人の背丈の山羊は姿を消した。ただしフィンランドでは、サンタクロースにあたる存在が今もヨウルプッキ(「ユールの山羊」)と呼ばれている。名だけが残ったかたちである。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、クリスマスツリーに吊された藁の山羊である。藁を束ね、赤い紐で結ぶ——これが今日の北欧諸国で最も広く知られる姿であり、ツリーの下や枝に飾られる。

大型の像を街に立てる慣習は新しい。1966年にスウェーデンのイェヴレ市が始めたイェヴレの山羊(Gävlebocken)がその嚆矢で、以後、各地の町が同様の巨大な藁山羊を設置するようになった。イェヴレの山羊は放火と破壊に繰り返し見舞われ、警備が置かれ、そのたびに焼こうとする側の手口が凝ってきた。年末の恒例行事として、燃えるか燃えないかが報じられる。収穫の霊を宿すとされた麦束が、都市の広場で燃やされる対象になっている。

象徴として押さえておきたいのは、この存在が贈り物を「与える」側と「要求する」側の両方を務めてきた点である。仮装して家々を回り施しを求める山羊と、家族に贈り物を配る山羊は、同じ名で呼ばれる。北欧のクリスマスの登場人物——グリーラ、ユールキャット、ユールラッズ——に共通する両義性が、ここにも現れている。

関わる伝承

ノルウェーのユーレブック(julebukking)は、この習俗の生き残りである。クリスマスから元日にかけて、仮面と仮装をつけた者が家々を訪ね、迎えた側は誰が変装しているのかを当てようとする。声や身振りを変えて正体を隠すのが作法で、正体が知れて菓子と飲み物が振る舞われると、訪ねた側は次の家へ向かう。多くの場合、迎えた家からも一人が一行に加わる。

トールの山羊との関係は、しばしば主張されるが証明されてはいない。異教期の記録がなく、17世紀に突然文献に現れるという事情は、ユールキャットの場合と同じである。

文化的足跡

19世紀末から20世紀初頭のクリスマスの歌に、この山羊はしばしば現れる。サンタクロースの習俗がスウェーデン全土に定着する前の時期にあたり、「ユールボッケン」「ユールポルスカ」といった歌がそれである。

北欧の家庭で今も飾られる藁の山羊は、工業製品として大量に生産されている。麦束の霊も、家々を回る仮装の一行も、街を焼かれる巨像も、同じ一つの名の下にある。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q522413 — 骨格データの出典
Commons
Yule goats — 図像カテゴリ