ヴェルザンディ
ベルダンディ · Verðandi · Verdandi
北欧神話のノルンの一柱で、名は動詞「なる」の現在分詞。ウルズ、スクルドとともに運命を定める。三柱を過去・現在・未来に対応させる理解は近代のもので、中世の資料には明示されない。『巫女の予言』と「ギュルヴィたぶらかし」に名が挙がるのみである。
解説
概要
北欧神話において、ヴェルザンディ(Verðandi、古ノルド語でおそらく「生成」あるいは「現在」)は、ノルンの一柱である。ウルズ(古ノルド語で「運命」)とスクルド(おそらく「負債」あるいは「未来」)とともに、人々の運命を定めるとされる三柱のノルンをなす。
名
ヴェルザンディは文字どおり、古ノルド語の動詞ヴェルザ(「なる」)の現在分詞であり、通常「生成しつつある」「なりつつあること」と訳される。
三柱のノルンの名を過去・現在・未来と対応させる理解は、この語形に基づく。ウルズが過去形、ヴェルザンディが現在分詞、スクルドが「負うべき」を意味する動名詞であることによる。
ただしこの三分は近代の解釈であり、中世の北欧の資料にこの対応は明示されていない。ギリシアのモイライの影響を受けた読み方であるとする説もある。
記述
ヴェルザンディへの言及は、『古エッダ』の『巫女の予言』第二十節と、『スノッリのエッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」に限られる。いずれもノルンの三柱を列挙する箇所である。
固有の物語は伝わらない。名が挙げられるのみである。
ノルンの複数性
『スノッリのエッダ』は、三柱のほかにも多くのノルンがいると記す。「善きノルンと悪しきノルンがおり、人が善い生を得るか悪い生を得るかはこれによる」。
アース神族のノルン、エルフのノルン、ドヴェルグのノルンがあるという。運命を定める存在が種族ごとにあるという観念である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ルートヴィヒ・ブルガーが描いた《世界樹ユグドラシルの下のノルンたち、ウルズ、ヴェルザンディ、スクルド》である。
ウルズは泉の名を負い、スクルドはワルキューレとしても現れるが、ヴェルザンディには別の役は伝わらない。
系譜と関係
ウルズ、スクルドとノルンの三柱をなす。
文化的足跡
日本では、藤島康介の漫画『ああっ女神さまっ』(1988年連載開始)の女神ベルダンディーがこの名に由来し、姉妹のウルド、スクルドとともにノルン三柱の名が広く知られるきっかけになった。