スクルド
スクルド · スクルズ · Skuld
ノルンの一柱で、名は「負うべきこと」を意味し英語の should と同語源。ヴァルキュリヤとしても現れ、盾を持って戦場で死者を選ぶ。未来が「負債」として理解される点が北欧の運命観を示す。
解説
概要
スクルド(Skuld、「負債」あるいは「義務」。英語の should と語源を共有する)は、北欧神話におけるノルンである。ウルズ(古ノルド語で「運命」)とヴェルザンディ(おそらく「生成」あるいは「現在」)とともに、人々の運命を定めるとされる三柱のノルンをなす。
スクルドは、少なくとも二つの詩においてヴァルキュリヤとしても現れる。
記述
『巫女の予言』第二十節において、三柱のノルンの一人として名が挙げられる。
『新エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」は、三柱のノルンを列挙し、スクルドを最も若い者とする。
ヴァルキュリヤとして。 『巫女の予言』第三十節は、オーディンの館へ馬を駆るヴァルキュリヤたちを列挙し、そのなかにスクルドを含める。「盾を持つスクルド」と記される。
『グリームニルの言葉』にも、エインヘリヤルに酒を注ぐヴァルキュリヤの一人としてスクルドが挙げられる。
運命を定める者と、戦場で死者を選ぶ者が、同じ名を持つ。両者の職能が重なることが、この重複の理由とみられる。
名と未来
スクルドは古ノルド語のスクラ(「〜すべきである」「〜する定めである」)に由来し、「負うべきこと」を意味する。英語の should、ドイツ語の Schuld(罪・負債)と同語源である。
未来が「負債」として理解されるという点が注目される。まだ果たされていない義務が、これから起こることである。北欧の運命観において、未来は返さねばならない借りである。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
ウルズ、ヴェルザンディとノルンの三柱をなす。ヴァルキュリヤの一人でもある。
『フロールヴ・クラキのサガ』に登場する魔女スクルドは、同名の別人である。
文化的足跡
ドイツ語の Schuld(罪・負債・責任)は同語源であり、ニーチェ『道徳の系譜』が罪と負債の語源的な同一性を論じた際に引かれた。