ウルズ
ウルズ · ウルド · ウュルド
ノルンの一柱で、名は「なったこと」=過去を意味する。ユグドラシルの下のウルズの泉に住み、毎日その水を樹にかけて朽ちるのを防ぐ。古英語のウュルドと同語源で、『マクベス』の「運命の姉妹」にその名が残る。
解説
概要
ウルズ(Urðr、古ノルド語で「運命」)は、北欧神話におけるノルンの一柱である。ヴェルザンディ(おそらく「生成」あるいは「現在」)とスクルド(おそらく「負債」あるいは「未来」)とともに、人々の運命を定めるとされる三柱のノルンをなす。
『古エッダ』の詩『巫女の予言』第二十節と、『新エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」に確認される。
記述
ウルズは他のノルンとともに、アースガルズの世界樹ユグドラシルの下の泉ウルザルブルン(「ウルズの泉」)に住む。
『巫女の予言』は次のように記す。「そこから三人の乙女が来る、多くを知る者たちが。ユグドラシルの下にある湖から。一人はウルズと呼ばれ、二人目はヴェルザンディ——彼女らは木片に刻んだ——三人目はスクルド。彼女らは掟を定め、生を選び、人の子らの運命を告げた」
『新エッダ』は、ノルンたちが毎日ウルズの泉から水を汲み、その水と泥をユグドラシルにかけて、樹が朽ちるのを防ぐと記す。
名と時制
ウルズは古ノルド語の動詞ヴェルザ(「なる」)の過去形に由来し、「なったこと」——すなわち過去を意味する。ヴェルザンディは現在分詞(なりつつあること=現在)、スクルドは「負うべきこと」(未来)である。
三柱を過去・現在・未来とする理解は、この語形に基づく。ただしこの解釈は近代のものであり、中世の資料には明示されない。
古英語のウュルド(wyrd)は同語源であり、シェイクスピア『マクベス』の「ウィアード・シスターズ」(運命の姉妹)にその名が残る。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ノルウェーの雑誌『ウルド』の表紙である。ノルンの図像を用いる。
過去が運命を定めるという構造が、この女神を規定する。すでになったことが、これからなることを規定する。北欧の運命観において、未来は過去の帰結である。
関わる神格・伝承
ヴェルザンディ、スクルドとノルンの三柱をなす。ウルズの泉。
文化的足跡
「ウュルド」の語は、古英語詩において運命を意味する重要な語であり、『ベーオウルフ』にも現れる。