ウットゥ
ウットゥ · Uttu
メソポタミアの機織りの女神で、名は布を織る行為を指す記号で書かれた。『エンキとニンフルサグ』で祖父にあたるエンキに迫られ、胡瓜・林檎・葡萄と引き換えに応じた。その結果生じた八つの植物がエンキを病ませる。
解説
概要
ウットゥ(Uttu)は、機織りに結びつけられたメソポタミアの女神である。蜘蛛と結びついていたと示唆されているが、その証拠は書記の推測を反映しているかもしれない一つの文献に限られる。
バビロンで、おそらく初期王朝期のウンマでも崇拝された。『エンキとニンフルサグ』『エンキと世界の秩序』のような複数の神話に現れる。
名
ウットゥの名は TAG×TÙG と書かれ、TAG の記号(通常トゥクと読まれる)は布を織る行為を指す。ウットゥという語は機の一部を指すこともできた。
神話・物語
『エンキとニンフルサグ』において、ウットゥはエンキの娘であり——より正確には、エンキが自らの娘と交わって生んだ娘の、さらに娘である——三世代目にあたる。
エンキがウットゥに迫ったとき、ウットゥはニンフルサグの助言に従い、贈り物として胡瓜、林檎、葡萄を求めた。エンキはこれを持って再び訪れ、ウットゥと交わる。ニンフルサグはウットゥの身体からエンキの精を取り出し、これを地に蒔いて八つの植物を生やした。
エンキがこの八つの植物を食べたため、ニンフルサグは呪って身を隠す。エンキは八つの器官を病み、死にかける。狐がニンフルサグを連れ戻し、女神はエンキの八つの病んだ器官それぞれに対応する八柱の癒しの神を生んで、エンキを癒した。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
機織りの女神という位置が、この神を規定する。メソポタミアにおいて織物は女の仕事であり、神殿と王宮の重要な産業であった。ウルの王墓、ラガシュの神殿の文書は、大規模な織物工房の存在を示す。
エンキの神話における位置は特異である。祖父にあたる神に迫られ、贈り物と引き換えに応じる。その結果生じた植物が、エンキ自身を病ませる。
関わる神格・伝承
エンキの子孫。ニンフルサグに助言された。
シュメールの機織りの女神としては、ニンスンの名にも「野牛の女主」の意があり別系統である。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。『エンキとニンフルサグ』の翻訳を通じて言及される程度である。