尊勝仏頂
ウシュニーシャヴィジャヤー · 尊勝仏頂仏母 · 除障仏頂
如来の肉髻を神格化した仏頂尊の一尊で、罪業と障害を粉砕する。その陀羅尼「仏頂尊勝陀羅尼」は悪趣に堕ちる者を救い寿命を延ばすとされ、唐代以降各地に陀羅尼幢が建てられた。チベットでは長寿三尊の一。
解説
概要
尊勝仏頂(そんしょうぶっちょう、梵 Uṣṇīṣavijayā)は、如来の肉髻——頭頂部の椀状の盛り上がり——を神格化した仏の一種、仏頂尊の一尊である。諸仏を生み出す仏母であり尊勝仏頂仏母とも。
三昧耶形は独杵鉤。種子はコロン(hrūṃ)。
その霊験をもって、あらゆる罪業、障害などを粉砕する様を表現したものである。ここから除障仏頂、捨除仏頂、摧破仏頂、摧砕仏頂などとも呼ばれる。
図像
胎蔵界曼荼羅釈迦院では、装身具を身に着けた菩薩形で、右手は中指と薬指を曲げて胸に当てる。左手は蓮華を持ち、その華の上に独杵鉤が乗っている。
一方、尊勝仏頂曼荼羅では、菩薩形で両手を定印の印相にし、その上に独杵鉤の乗った蓮華を持つ。
チベット仏教では、三面八臂の白い女尊として表され、白ターラー、無量寿仏とともに「長寿三尊」をなす。
仏頂尊勝陀羅尼
尊勝仏頂に捧げられた陀羅尼として「仏頂尊勝陀羅尼」が知られる。この陀羅尼は、悪趣に堕ちる者を救い、寿命を延ばすとされ、東アジアで広く用いられた。
唐代以降、この陀羅尼を刻んだ石柱——陀羅尼幢——が各地に建てられた。日本にも伝わり、平安時代以降に多数造立された。
『仏頂尊勝陀羅尼経』の縁起によれば、善住天子が七日後に死んで畜生道に堕ちるという予言を受け、帝釈天の勧めで釈迦に救いを求めた。釈迦がこの陀羅尼を説き、善住天子は救われたという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、根来寺大伝法堂である。
肉髻という身体の一部が独立した尊格になる構造は、白傘蓋仏頂と共通する。仏頂尊は五仏頂あるいは八仏頂として体系化され、尊勝仏頂はその中心に置かれる。
長寿の尊格としてのチベットにおける展開も注目される。罪障を砕く陀羅尼が、寿命を延ばす修法に転じた。
関わる神格・伝承
仏頂尊の一。白傘蓋仏頂と並ぶ。チベットでは長寿三尊の一。
文化的足跡
陀羅尼幢——尊勝陀羅尼を刻んだ石柱——は、中国・韓国・日本の各地に残り、仏教の伝播を示す遺構となっている。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。