ウムヴェリンカンギ
ウムヴェリンカンギ · Umvelinqangi · uMvelinqangi
ングニ語で「いと高きもの」を意味する、万物の源である非人格的な力。像も物語も持たない。最初の祖先ウンクルンクルとは別の存在だが、19世紀の宣教師が両者を混同した。夜明け前に東を向いて平伏するウククタマの実践があった。
解説
概要
ウムヴェリンカンギは、アフリカ南部のズールーをはじめとするングニの人々の言葉で「いと高きもの」を意味し、過去と現在と未来のあらゆるものの源とされる根源の力である。人の姿を持たない。19世紀の宣教師たちは、これを「最初の祖先」ウンクルンクルと混同し、キリスト教の神の訳語をめぐって議論を重ねた。
信仰
ウムヴェリンカンギは像で表されることがなく、神話の逸話もほとんど伝わらない。万物に行き渡る根源の力であり、人格を持つ神というより、北米先住民のマニトウやワカン・タンカに近い性格を持つ。「創造神」と訳すと、人格を持つ神のような印象を与えてしまう点に注意が要る。
ウンクルンクルは人間の最初の祖先であり、ウムヴェリンカンギとは別の存在である。ところが19世紀の宣教師たちは両者を混同し、キリスト教の神をどちらの語で訳すかをめぐって争った。ウンクルンクルを採った教派もあったが、ズールーの人々にとってそれは祖先の名であった。ウムヴェリンカンギのほうが概念としては近かったが、人格を持たないという点で一神教の神とは異なる。どちらの語も、一神教の人格神にはぴったりと重ならなかったのである。
西洋化以前のズールーの人々のあいだでは、ウククタマと呼ばれる平伏の実践が広く行われていた。夜明け前に東を向き、額を地につけて祈る、個人の行いである。植民地化とキリスト教化のなかで衰えたが、近年、ズールーの伝統を見直す動きのなかで再び注目されている。
図像と象徴
人格を持たない力であり、像に表されることがない。本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
ウンクルンクルと混同されてきた。祖霊アマドロジとともに、ズールーの宗教の体系をなす。
文化的足跡
「ウムヴェリンカンギ」は、今日もズールー語で神を指す語の一つとして用いられている。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。