ウッチッタ・バガヴァティ
ウッチッタ・バガヴァティ · ウッチッタ · Uchitta Bhagavathy
ケーララ北マラバールの女神で、テイヤムとして演じられる。演者が燃える炭の上に坐り火のなかを進む場面で知られ、火の神アグニから生まれたとされる。同時に安産の女神として出産を控えた女性に祈られる。高位カーストの家の女神を低位カーストの演者が演じる。
解説
概要
ウッチッタ・バガヴァティは、南インド、ケーララ州北マラバール地方で祀られる女神で、神が演者に宿る儀礼テイヤムとして演じられる。燃える炭の上に坐り、火のなかを進む場面で知られ、出産を守る女神として、とりわけ出産を控えた女性に祈られる。主な寺院は、カンヌールとカーサルゴードの両県に広がっている。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
火のなかの女神
ウッチッタのテイヤムは、演者が燃える炭の上に坐る場面でよく知られている。演者は燃えさかる火のなかを進み、神が宿っているため火に焼かれないとされる。火の神アグニから生まれたとする伝承もある。
出産の守り手
ウッチッタは、出産を助ける女神として祀られ、出産を控えた女性たちが祈りを捧げる。家の炉の火と、命の誕生とが、一柱の女神のうちで結びついているのである。
社会の秩序が逆転する儀礼
伝承によれば、ウッチッタはバラモンの家の祭祀と結びついて生まれたとされる。そのような高いカーストの家の女神を、テイヤムでは低いカーストの演者が演じる。儀礼のあいだ、高いカーストの人々も演者に宿った神の前にひれ伏す。テイヤム全体に見られる、社会の秩序の一時的な逆転の典型的な例である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ウッチッタのテイヤムの演者である。
関わる伝承
バガヴァティの一柱であり、テイヤムとして演じられる。
文化的足跡
ウッチッタのテイヤムの火の場面は、北マラバールの祭で最も多くの人を集める場面の一つである。
なおテイヤムは今日も北マラバールで営まれている生きた儀礼であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。