トラルチトナティウ
トラルチトナティウ · 大地の赤い太陽 · Tlalchitonatiuh
「大地の赤い太陽」を意味する日没の太陽の神。天頂のトナティウと区別され、太陽が一日のうちに複数の相を持つというメソアメリカの観念を示す。出産で死んだ女シワテテオが天頂から西へ運ぶ区間の太陽である。
解説
概要
トラルチトナティウ(古典ナワトル語 tlālchitōnatiuh。「赤い大地の太陽」あるいは「大地の赤い太陽」。トラリ「大地、土」、チルティク「赤い」、トナティウ「太陽」から成る)は、沈む太陽——星々が夜空に現れはじめるとき——に結びつけられたメソアメリカの神格であった。
マヤを含む多くのメソアメリカ文化のあいだで崇拝されたが、トルテカ文明に起源を持つ。
職能
日没の太陽である。天頂の太陽トナティウと区別される。
太陽の一日。 メソアメリカの宇宙観において、太陽は一日のうちに複数の相を持つ。
昇る太陽、天頂の太陽、沈む太陽、そして地下を通る夜の太陽。それぞれが異なる神格として理解された。
トラルチトナティウは、その第三の相である。
西と死。 太陽が沈む西は、死者の方角である。日没の太陽は、死へ向かう太陽である。
戦死した戦士は太陽を東から天頂まで運び、出産で死んだ女(シワテテオ)は天頂から西まで運ぶ。トラルチトナティウは、後者が担う区間の太陽である。
図像
赤い身色で、沈む姿勢——横たわる、あるいは下向きの姿——で描かれる。
古典期マヤ美術の「沈む太陽神」との対応が指摘される。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
太陽が時刻によって別の神になるという点が、この神格を規定する。同じ天体が、位置によって異なる名と性格を持つ。
エジプトにおいて、朝の太陽がケプリ、昼がラー、夕がアトゥムとされるのと同型である。
関わる神格・伝承
トナティウの一相。シワテテオが運ぶ区間の太陽。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。メソアメリカの太陽の観念を論じる文脈で言及される。