タガロア
タガロア · タガロア・ラギ · タアロア
サモアの至高神で宇宙の創造者。空間に独り住み、岩を割って大地と海を作り、蔓に湧いた虫に顔と手足を与えて人とした。同じ名がポリネシア全域に分布するが、サモアとタヒチでは至高神、マオリでは一介の海神と位置が異なる。
解説
概要
タガロアは、サモア神話の最高神で、「天のタガロア」(タガロア・ラギ)とも呼ばれる。神々を束ねる長であり、ほかの神々の祖でもある。何もない空間に住み、天と地、海と淡水、木々、そして人を造り出したとされ、サモアの人々は天を九つの層に造ったのもタガロアだと考えた。
創造主を頂点に置くこの位置づけは、タヒチのタアロアとよく似ている。一方、同じ名をもつマオリのタンガロアやハワイのカナロアは、海の神、あるいは四大神の一柱にとどまる(「名の分布」の節を参照)。
創造
はじめ、タガロアは何もない空間にひとりで住んでいた。タガロアは岩を造り、それを割って大地と海を生み出し、次に天と、天を支える柱を造った。そして使いの鳥トゥリを遣わして休む場所を探させ、鳥のために大地を造って、そこに草木を生やした。やがて蔓が腐り、そこに虫がわいた。タガロアはこの虫に顔と手足を与え、人とした。腐った植物から湧いた虫が人になるという筋は、隣のトンガの創世にも見られる。
名の分布
タガロア(サモア)、タンガロア(マオリ、トンガ)、タアロア(タヒチ)、カナロア(ハワイ)と、同じ名がポリネシアの全域に分布している。ただしその位置づけは地域によって異なる。サモアやタヒチでは、最も高い創造の神である。マオリでは海の神であり、タネらと並ぶ兄弟の一柱にすぎない。ハワイではカナロアとして、四柱の大神の一柱とされる。同じ神が、地域によって最も高い神にも、数ある神の一柱にもなるのである。神々の序列は、それぞれの社会のしくみを映していると考えられる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、パウラ・シャーフハウゼンによるタガロアの群像の一体で、現代の作品である。
サモアでは神々を像に表すことが少なく、古い神像はほとんど伝わらない。
関わる神格・伝承
タンガロア、タアロア、カナロアと同一の名。ナファヌアの祖ともされる。
文化的足跡
サモアは19世紀にキリスト教化し、今日その人口のほぼ全てがキリスト教徒である。伝統的な神々は信仰の対象ではなくなったが、口承と文学のなかに残る。
なおハワイ・サモア・トンガ・タヒチの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承に関する学術的な整理である。