日光菩薩
にっこうぼさつ · 日光遍照菩薩 · 日光普照菩薩
薬師如来の左脇侍で、月光菩薩と対をなし薬師三尊を構成する。一千の光明で無明の闇を滅するとされる。薬師寺金堂の銅造立像(8世紀初頭)は白鳳・天平金銅仏の最高傑作の一つ。
解説
概要
日光菩薩は、仏教における薬師如来の脇侍としての一尊であり、月光菩薩とともに薬師三尊を構成している菩薩である。日光遍照菩薩あるいは日光普照菩薩とも呼ばれ、薬師仏の左脇に侍する。単に日光とも呼ぶ。
経典
『薬師経』によれば、日光菩薩は一千もの光明を発することによって広く天下を照らし、そのことで諸苦の根源たる無明の闇を滅尽するとされる。
薬師如来の東方浄瑠璃世界において、日光・月光の二菩薩は無量の菩薩衆の上首であり、薬師如来の正法を護持する。
図像と象徴
固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。
造形上は、月光菩薩と対になるように対称的に造形される。日光菩薩が右腕を上げ左腕を垂らす場合は、月光菩薩が左腕を上げて右腕を垂らすといった姿形がとられる。その上げた方の手の親指と人差指で輪を作る作例が多い。宝冠と持物に太陽を表す標幟を表現することも多い。
日本における作例としては、奈良・薬師寺金堂の薬師三尊像の脇侍立像(銅造、8世紀初頭、国宝)がよく知られる。腰をひねった三曲法の姿勢で、白鳳から天平にかけての金銅仏の最高傑作の一つとされる。
奈良や京都およびその周辺地に残る日光菩薩像は、飛鳥時代から奈良時代にかけて造立されたものも数多く残るが、関東に残るものは平安時代後期から鎌倉時代頃の作である。
太陽と月を左右の脇侍とする三尊形式は、薬師如来に固有である。阿弥陀の観音・勢至、釈迦の文殊・普賢と並ぶ三尊の型のうち、天体を脇侍とする唯一の例である。
関わる神格・伝承
薬師如来の脇侍。月光菩薩と対をなす。
インドの太陽神スーリヤとの関係が説かれるが、日光菩薩は天部の日天とは別の尊格であり、菩薩として薬師の教説を護持する。
文化的足跡
薬師寺の日光・月光菩薩像は、日本の仏像のなかで最もよく知られたものの一つであり、修学旅行や美術教育で繰り返し取り上げられる。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。