月光菩薩
がっこうぼさつ · 月光遍照菩薩 · チャンドラプラバ
薬師如来の右脇侍で、日光菩薩と対をなし薬師三尊を構成する。清涼な月の光で衆生の苦熱を除くとされ、密名は清涼金剛。薬師寺金堂の銅造立像が名高い。『月光仮面』の名の由来。
解説
概要
月光菩薩は、仏教における菩薩の一尊。日光菩薩とともに薬師如来の脇侍を務め、薬師三尊を構成している。単に月光とも呼ぶ。
経典
『薬師経』によれば、月光菩薩は月の光を象徴する菩薩であり、日光菩薩と一緒に、薬師如来の教説を守る役割を果たしているとされる。
日光が無明の闇を滅する激しい光であるのに対し、月光は清涼な光で衆生の苦熱を除くとされる。密名は「清涼金剛」。
図像と象徴
固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。
造形上は、日光菩薩と対になるように対称的に造形される。日光菩薩が右腕を上げ左腕を垂らす場合は、月光菩薩が左腕を上げて右腕を垂らすといった姿形がとられる。上げた方の手の親指と人差し指で輪を作る作例が多い。宝冠と持物に月を表す標幟を表現することも多い。
胎蔵曼荼羅では五髻の童子形で、右手に未開敷蓮華、左手に半月を乗せた開敷蓮華を持つ。
日本における作例としては、奈良・薬師寺金堂の薬師三尊像の脇侍立像(銅造、国宝)がよく知られる。
太陽と月の対という構成が、この尊格を規定する。日光が能動的に闇を破り、月光が受動的に熱を鎮める。二つの光の性質の違いが、二菩薩の性格の違いになっている。
関わる神格・伝承
薬師如来の脇侍。日光菩薩と対をなす。
インドの月神チャンドラとの関係が説かれるが、月光菩薩は天部の月天とは別の尊格である。
文化的足跡
1958年のテレビ映画『月光仮面』の主人公の名は、この菩薩に由来する。作者川内康範が、月光菩薩の「憎むな、殺すな、赦しましょう」という精神を主題にしたと語っている。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。