スエ
シュエ · スア · スヘ
ムイスカの太陽の神で月の女神チアの夫。北部の支配者サケを守護し、南部を守護する月と対をなす。ソガモソの太陽の神殿はスペイン人到来時に焼失し、宗教の終焉を象徴した。
解説
概要
スエ(シュエ、スア、スヘ。チブチャ語で「太陽」)は、ムイスカの宗教における太陽の神である。月の女神チアの夫であった。太陽と、チブチャクムが体現する雨は、ムイスカの農耕にとってきわめて重要であった。
なおムイスカはコロンビアのアンデス北部の文明であり、本サイトではアンデス神話としてインカの体系に含めて扱う。
神話・物語
チミニガグアが光と世界を創ったのち、チアとスエを創ってそれぞれ月と太陽を表させた。スペインの征服者ゴンサロ・ヒメネス・デ・ケサダはムイスカについて「彼らは太陽と月をあらゆるものの生みの親とし、夫婦として一緒にあると信じている」と記した。
チアが南部ムイスカ連合のシパと結びついたのに対し、スエは北部のサケを治めた。北部の首都フンサ(トゥンハ)の近くのソガモソには、スエに捧げられた太陽の神殿があった。
太陽の神殿は、スペイン人の到来時に焼失した。年代記によれば、征服者の兵士が夜に松明を持って神殿に入り、失火して五日間燃え続けたという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ソガモソの太陽の神殿は復元されているが、20世紀の再建である。
この神を規定するのは、政治的な分割との対応である。月が南、太陽が北。ムイスカ連合の二つの支配者——シパとサケ——が、それぞれ月と太陽の神を守護神とした。
ソガモソの神殿の焼失は、ムイスカの宗教の終焉を象徴する出来事として記憶された。
関わる神格・伝承
妻はチア、創造者はチミニガグア。ムイスカの神々としては、雨の神チブチャクム、母神バチュエ、文明の英雄ボチカがある。
インカのインティと同じく太陽神だが、系統上の関係はない。ムイスカとインカはともにアンデスの文明でありながら、言語も宗教も別である。
文化的足跡
ソガモソの太陽の神殿は、コロンビアの考古学公園として復元・公開されている。ムイスカの宗教建築を知る主要な場所である。
なおアンデスとアマゾンの先住民の伝統は今日も継承されている生きた信仰である。