チア
チーア · Chía · Chia
ムイスカの三相の月の女神で、太陽神スエの妻。南部の支配者シパの守護神であり、北部のサケを守護する太陽と対をなす。天体の神格が連合の政治的分割を表す。チア市の名祖。
解説
概要
チア(チブチャ語で「月のような者」)は、先コロンブス期にクンディボヤカ高原に住んだムイスカの宗教における三相の月の女神である。万神殿の中心的な重要性を持ち、ムイスカの諸地域で崇拝された。
なおムイスカはコロンビアのアンデス北部の文明であり、本サイトではアンデス神話としてインカの体系に含めて扱う。
神話・物語
多くの機能の一つとして、チアは現在のボゴタを含む領域を治めたシパ(南部の支配者)の守護神とみなされた。儀礼の中心は、女神にちなんで名づけられたクンディナマルカ県のチア市かその周辺にあった。
聖なる暦の祭司チキスが女神に捧げる儀礼を司り、黄金と陶器の作品が捧げられた。
チアと太陽の神スエは、創造神チミニガグアによって創られた第一世代の神々であり、ともに地上に光をもたらした。チアとスエは夫婦である。
チアが南部連合のシパと結びついたのに対し、スエは北部のサケと結びついた。ムイスカ連合の二つの支配領域が、月と太陽に配されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、チア市に置かれた女神チアの像の写真である。近代の作例である。
この女神を規定するのは、政治との結びつきである。月が南、太陽が北。ムイスカ連合の二つの首都——バカタ(ボゴタ)とフンサ(トゥンハ)——が、それぞれ月と太陽の神を守護神とした。天体の神格が、政治的な分割の表現になっている。
三相の月という点も注目される。満ち欠けの三つの相が、女神の三つの相に対応する。
関わる神格・伝承
夫はスエ、創造者はチミニガグア。ムイスカの神々としては、雨の神チブチャクム、母神バチュエ、文明の英雄ボチカがある。
チブチャクムの反乱譚では、チエという女がその妃として現れる。チアとチエは別の存在である。
文化的足跡
チア市はボゴタ北郊の都市であり、女神の名を今日も負う。コロンビアの地名に先住民の神名が残る例である。
なおアンデスとアマゾンの先住民の伝統は今日も継承されている生きた信仰である。