蜘蛛の祖母
蜘蛛の女 · コキャングウティ · ナアシュジェイイ・アスザー
北米南西部の賢者にして創造者。ホピでは太陽神とともに世界を作り、下の世界から人々を導いた。ナバホでは織物を教えた。大平原の蜘蛛のトリックスターとは対照的な、蜘蛛の祖母。
解説
概要
蜘蛛の祖母(ホピ語コキャングウティ、ナバホ語ナアシュジェイイ・アスザー)は、北米先住民の多くの文化——とりわけ南西部——の神話、口承、伝承における重要な存在である。
神話・物語
ホピ。 蜘蛛の祖母は、老いた——あるいは時を超えた——女の姿にも、普通の蜘蛛の姿にもなれる。蜘蛛の姿のときは、キヴァ(地下の儀礼室)のような穴のなかに地下に住む。呼ばれると人々を助け、助言を与え、薬を授ける。指導者、賢者、善きものの体現とみなされる。
創造譚では、太陽神タワと蜘蛛の女——大地の女神と同一視される——が、まず自らを分けて下位の神々を作り、次いで地とその生き物を作った。作った生き物に命がないことに気づいた二人は、これに歌を歌って命を与えたという。
別の版では、蜘蛛の祖母が人々を導いて下の世界から現れさせた。葦を伝って上の世界へ登る際、蜘蛛の祖母が先導する。
ナバホ。 蜘蛛の女(ナアシュジェイイ・アスザー)は、ナバホの人々に織物を教えた。ディネの織り手は、指に蜘蛛の巣を擦り込むことで技を授かるという。
ケレス(プエブロ)。 思考する女ツィチナコは、蜘蛛の祖母と同一視される。世界を思考によって創り、二人の姉妹を歌で命づけた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ナバホの織物である。蜘蛛の女が織物を教えたという伝えに対応する。
この存在を規定するのは、助言者にして創造者という位置である。イクトミが蜘蛛のトリックスターであるのに対し、蜘蛛の祖母は蜘蛛の賢者である。同じ動物が、大平原では悪戯者に、南西部では祖母になっている。
織物との結びつきも重要である。蜘蛛が糸を紡ぐことが、織物の技術の起源に置かれている。ギリシアのアラクネーが織りの技で罰せられるのに対し、ここでは蜘蛛が織りを授ける。
関わる伝承
ホピでは太陽神タワと対をなす。ナバホでは、チェンジング・ウーマンの双子の子が父を探す旅で、蜘蛛の女が助言と護符を与えた。
文化的足跡
「蜘蛛の女」の名は、アリゾナ州キャニオン・デ・シェイの岩塔「スパイダー・ロック」に残る。ナバホの伝えでは、この岩の頂に蜘蛛の女が住む。
なお北米先住民の諸伝統は今日も継承されている生きた信仰であり、物語の多くは特定の民族・氏族に属するものとして語られる。