テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
PLATE — ŠIDURI
SVMER · メソポタミア神話
ŠIDURI

シドゥリ

シドゥリ · ナフマズレル · Siduri

『ギルガメシュ叙事詩』の世界の果ての酒場の女将。古バビロニア版で「神は人に死を定めた。腹を満たし、妻子を喜ばせよ。これが人の定めである」と説いたが、標準版ではこの助言が削られた。コヘレトの言葉との類似が指摘される。

01

解説

概要

シドゥリ(Šiduri)は、『ギルガメシュ叙事詩』の登場人物である。酒場の女将と記される。

この挿話を含む現存する最古の版では名がなく、後代のシン・レキ・ウンニンニによる標準版でも、その名は一行に現れるのみである。フルリ語とヒッタイト語の訳の現存断片では、ナフマズレル、あるいはナフミズレンと名づけられる。標準版におけるその名は、フルリ語の訳者が用いた添え名シドゥリ「若い女」に由来するという説が提案されている。あるいはアッカド語の人名シー・ドゥーリー「彼女は私の守り」と結びつける説もある。

神話・物語

すべての版において、シドゥリは英雄に助言を与えるが、その正確な内容は版によって異なる。

古バビロニア版において、ギルガメシュエンキドゥの死を嘆き、不死を求めて旅する。世界の果ての海辺で、シドゥリの酒場に至る。シドゥリは荒れた姿のギルガメシュを恐れて戸を閉ざすが、事情を聞いて言う。

「ギルガメシュよ、どこへ彷徨うのか。汝の求める生命は見つからぬ。神々が人を造ったとき、人には死を定め、生命は自らの手に留めた。ギルガメシュよ、腹を満たせ。昼も夜も楽しめ。日ごとに宴を開け。昼も夜も踊り遊べ。衣を清く保ち、頭を洗い、水を浴びよ。手を取る子を見よ。妻を汝の胸に喜ばせよ。これが人の定めである」

標準版ではこの助言が削られ、シドゥリはギルガメシュを渡し守ウル・シャナビへ導く役にとどまる。

図像と象徴

固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。

古バビロニア版の助言が標準版で削られたという事実が、この人物の位置を規定する。日常の享楽を説く言葉が、より神学的な結末を持つ後代の版では不要とされた。

酒場の女将という設定も注目される。世界の果てで英雄を迎えるのが、神でも賢者でもなく酒場の女である。

関わる神格・伝承

ギルガメシュに助言した。ウル・シャナビへ導いた。

文化的足跡

シドゥリの助言は、『コヘレトの言葉』(伝道の書)第9章の「汝のパンを喜びて食らえ……汝の妻と共に楽しく生きよ」との類似が古くから指摘されてきた。人生の享楽を説く知恵文学の系譜の起点に置かれる。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q1550671 — 骨格データの出典