ヌスク
ヌスカ · ナシュフ · Nusku
エンリルのスッカル(宰相)で火と光の神。灯火・杖・雄鶏を象徴とし、悪夢を火に託して焼き払う厄除けの儀礼で祈られた。ニップルが祭祀の中心で、ハッラーンでは月神シンの子とされた。
解説
概要
ヌスカあるいはヌスク(Nusku)は、メソポタミアの神で、エンリルのスッカル(神の宰相)として最もよく確認される。火と光にも結びつけられ、ラマシュトゥやガッルーのようなさまざまな悪霊に対する守護神として呼び出されえた。その象徴には杖、灯火、雄鶏が含まれた。
系譜についてはさまざまな伝承があり、一部は特定の都市の文書に限られた。妻は女神サダルヌンナで、その性格はよく知られていない。火の神ギビルと結びつけられることがあった。
職能
スッカルは、神の宰相にして使者である。ヌスクはエンリルの命を伝え、その前に立ち、神々の会議で発言する。夜、エンリルの寝所を灯火で照らす役も担った。
火と光の神としての性格は、この職能に対応する。夜の闇のなかで主神の前を照らす灯火が、悪霊を退ける力にもなる。
厄除けの儀礼において、ヌスクへの祈りは重要な位置を占めた。悪夢を見た者は、ヌスクに祈って夢を火に託し、災いを焼き払った。
祭祀
ヌスカの主要な祭祀の中心はニップルであり、初期王朝時代にはすでに確認される。自らの神殿とエクル複合体の双方で崇拝された。カッシート期のさまざまな文書——誓約の定式や碑文を含む——にも確認される。
ハッラーンでは月神シンの子とされ、新アッシリア時代に重要な位置を占めた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、トゥクルティ・ニヌルタ1世の楔形文字碑文を刻んだ象徴的な台座である(前13世紀、アッシュル出土、ペルガモン博物館蔵)。灯火の象徴が刻まれる。
灯火(ヌール)が、この神の象徴である。神殿の祭壇に置かれる灯火そのものが、ヌスクの顕現とされた。
雄鶏を象徴とする点も注目される。夜明けを告げる鳥が、光の神に配される。
関わる神格・伝承
エンリルのスッカル。妻はサダルヌンナ。ギビル(火)と結びつく。シンの子とする伝えもある。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。メソポタミアの厄除け儀礼の研究において、その祈祷文が重要な資料となっている。