メードス
メドス · Medus · Mēdos
アイゲウスとメーデイアの子でテーセウスの異母弟。母とともにアテーナイを追われ、コルキスへ渡り、のちに周辺諸国を征服してメーディアを建国したとされる名祖。
解説
概要
メードス(Μῆδος)は、ギリシア神話の人物である。アテーナイ王アイゲウスとコルキスの魔女メーデイアの子で、テーセウスと異母兄弟にあたる。メーディアの名祖である。
ヘーシオドス『神統記』によれば、メーデイアとイアーソーンの子であり、ケイローンに育てられたという。
神話・物語
夫イアーソーンに捨てられたメーデイアは、その新しい花嫁と義父を魔法で殺し、イアーソーンとのあいだの子らを殺して、コリントスからアテーナイへ亡命した。そしてアテーナイ王アイゲウスと結婚する。
二人のあいだにメードスが生まれたが、幸福は続かなかった。メーデイアは王宮に現れた青年テーセウスがアイゲウスの子だと気づかず謀殺しようとし、彼を認知したアイゲウスによって、メードスとともに追放された。
その後メードスはメーデイアに連れられて母の故郷コルキスへ行く。長じたのち周辺諸国を征服してメーディアを建国したが、インド遠征の途上で死んだという。
別の伝えでは、メードスはコルキスで祖父アイエーテースから王位を奪っていたペルセースに捕らえられた。メーデイアはこれを救い出し、ペルセースを殺させて、コルキスの王位を取り戻したという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この人物が担うのは、メーディア人——ペルシア帝国に先立って西アジアを支配した民族——の名祖という機能である。ギリシア人は、東方の大国の起源を自らの神話上の人物に帰した。メーデイアの子がメーディアを建てるという語呂合わせが、その根拠である。
メーデイアの二人の夫——イアーソーンとアイゲウス——のいずれの子とするかで資料が割れる。前者ならケイローンに育てられ、後者ならテーセウスの異母弟になる。
関わる神格・伝承
母はメーデイア、父はアイゲウス(あるいはイアーソーン)。異母兄弟はテーセウス。
文化的足跡
ヘロドトスは、メーディア人がもとアリオイと呼ばれ、メーデイアがアテーナイから来て以来メードイと呼ばれるようになったと記す。神話の名祖が、歴史記述のなかで民族名の由来として引かれている。
日本語圏では、メーデイアとアイゲウスの子として言及される程度である。