ロズル
ロズル · ローズル · Lóðurr
『巫女の予言』で最初の人間に血の色と良き姿を与えた神。オーディン・ヘーニルとともに人間を創造したが、他の資料にほとんど現れない。ロキ、ヴェー、フレイとの同定説があるがいずれも決定的でない。
解説
概要
ロズル(Lóðurr、ローズル)は、北欧神話の神である。『古エッダ』の詩『巫女の予言』において、最初の人間に生命を与える役を割り当てられているが、それ以外にはほとんど言及されず、不明瞭なままである。
学者たちはこれをロキ、ヴェー、ヴィリ、フレイとさまざまに同定してきたが、いずれの説についても合意には至っていない。
記述
『巫女の予言』第十七〜十八節において、三柱の神——オーディン、ヘーニル、ロズル——が海辺でアスクとエムブラを見出す。
「オーディンが息を与え、ヘーニルが知恵を与え、ロズルが血の色と良き姿を与えた」
『新エッダ』では、この三柱がオーディン、ヴィリ、ヴェーとされる。二つの資料が、同じ場面に異なる三柱を配している。
同定をめぐる議論
ロキ説。 スカルド詩において、ロキは「ロズルの友」と呼ばれる。オーディン・ヘーニル・ロキの三神は、シャツィの物語やオトルの償いの物語で行動をともにする。この三神組が創造の場面にも現れるとする説である。
ヴェー説。 『新エッダ』の三柱との対応から、ロズルをヴェーの別名とする説である。
フレイ説。 ロズルの名を「実り」を意味する語に結びつけ、豊穣の神フレイとする説である。
いずれも決定的な根拠を欠く。名の意味自体が不明である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
一箇所にのみ現れる神という点が、この神格を規定する。人間の創造という最も重要な場面に登場しながら、他の資料にほとんど現れない。北欧神話の伝承の断片性を示す例である。
関わる神格・伝承
オーディン、ヘーニルとともにアスクとエムブラを造った。ロキ、ヴェー、フレイとの同定説がある。
文化的足跡
北欧神話研究において、ロズルの正体は最も議論の多い問題の一つである。