スィール
スィール · スィール・スェジアイス · Llŷr
ウェールズの伝承で海と結びつく神格とみられ、ブラン・ブランウェン・マナウィザンの父。自身の物語はほとんど伝わらない。アイルランドのレルに対応し、ジェフリーの描いたレイル王を経て『リア王』につながるとする説がある。
解説
概要
スィール(Llŷr)は、ウェールズの伝承に現れる人物で、海と結びつく神格とみられる。名はウェールズ語で「海」を意味する語と同じで、アイルランドのマナナン・マク・リルの父レル(Lir、「海」)に対応する。ブラン(ベンディゲイドヴラン)、ブランウェン、マナウィザンの父として名が挙がるが、スィール自身の物語はほとんど伝わらない。ケルト神話の一部をなす。
神話・物語
中世ウェールズの物語集『マビノギ』の第二の枝『スィールの娘ブランウェン』と第三の枝『スィールの子マナウィザン』は、題にその名を掲げながら、スィール本人を登場させない。
ウェールズの三題歌は、「スィール・スレディアイス(半ばの言葉のスィール)」をブリテン島の三人の高貴な囚人の一人に数え、エウロスウィッズに捕らえられていたとする。『マビノギ』第二の枝では、エウロスウィッズはブランウェンの母ペナルズンとのあいだにニシエンとエヴニシエンをもうけており、両者の関係を示唆するとみる研究者もいる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
子はブラン、ブランウェン、マナウィザン。アイルランドのレルに対応し、海の神とその子という組み合わせが二つの島で共通する。
文化的足跡
12世紀のジェフリー・オヴ・モンマスは『ブリタニア列王史』で、レスター(カエルレイル)を築いた王レイルとその三人の娘の物語を記した。この話がシェイクスピアの『リア王』の源となる。レイルの名をスィールに結びつける説があるが、確かではない。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。