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キキーモラ
PLATE — КИКИМОРА
SLAVI · スラヴ神話
КИКИМОРА

キキーモラ

キキーモルカ · シシーモラ · モクーシャ

Ivan Bilibin PUBLIC DOMAIN

ロシア・ベラルーシの家の霊。夜ごと糸を紡ぎ、物を隠し、眠る者にのしかかる。不当な死を遂げた者がなるとも、大工や呪術師が人形を仕込んで送り込むとも語られた。

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解説

概要

キキーモラ(Кики́мора / Kikimora)は、ロシアとベラルーシの民間信仰に現れる、多くは女性の家の霊である。人の住まいや納屋に棲みつき、夜ごと糸を紡ぎ、家に害と厄介をもたらす。17世紀にはすでにこの名が知られていた。

同じ家に棲むといっても、ドモヴォーイとは位置が違う。ドモヴォーイが一族の死者としてその家を守るのに対し、キキーモラが現れることは、その家が「清くない」しるしと受け取られた。スラヴ神話不浄なる力のうち、最も居心地の悪い隣人である。

登場する物語

由来は二通りに語られた。一つは、正しくない死である。洗礼を受けずに死んだ子、殺された子、自死した者、呪われて連れ去られた子がキキーモラになる。もう一つは、送り込まれる場合である。報酬に不満を持った大工や呪術師が、建てた家に呪物——たいていは小さな人形——を仕込んでいく。その人形がやがて動きだす。

彼女は昼のあいだ建物の隅に隠れ、夜になって出てくる。何よりも好むのは糸紡ぎと、機織りや刺繍といった女の仕事である。ただし仕事は雑で、翌朝、主婦は全部やり直す羽目になる。

害はさまざまに数えられた。眠りを妨げ、物音で脅かし、幼子にちょっかいを出し、夜に人へのしかかって息を詰まらせる。物を投げ、器を割り、掛け物を剝ぎ、糸をもつれさせる。眠っている人の髪や、家畜の毛や、鶏の羽を抜き取り、あるいは切り落とす。あまりに騒がしいので家を捨てた、という話もある。姿を見ることは凶兆とされた。

追い出す手だても伝わる。仕込まれた人形を探し出して焼く。杜松の枝の煎じ汁で家じゅうを洗う。熊の毛を焚く。土地ごとに作法は違ったが、いずれもまず「なぜ来たのか」を突きとめることから始まる。

図像と象徴

姿は一定しない。背の低い、曲がった、みすぼらしい醜い老婆。長い三つ編みの娘。小さな女の子。ときには男や老人。ごく小さく痩せていて頭ばかり大きく、腕が長く脚が短い。目玉が飛び出し、毛深い手をもち、角と尾があり、羽毛か獣毛に覆われている——そうした描写も並ぶ。多くの場合は姿を見せず、落ち着きなく駆けまわり、人の言葉でも物音でも語りかけてくる。

象徴の中心は糸である。夜の糸車の音は、この家に誰かがいるという最も具体的な徴であった。糸を紡ぐ女の霊、というかたちは、東スラヴの家の観念の奥深くにある。名の後半 -мора は「悪夢」「死」を意味する語根で、冬と死の女神モレーナの名と同じ系統にある。眠る者にのしかかるという役どころも、この語根に見合っている。

本ページに掲げたのは、イヴァン・ビリービンが1934年に描いた図版である。

関わる伝承

キキーモラという名のもとに括られたものは一つではない。ドモヴォーイの妻とみなされ、良い主婦の糸紡ぎや子守を助ける有益な霊とされる土地もある。異名のなかにモコーシャ、モクーシャという形があるのは注目に値する——キリスト教以前の女神モコシの名が、夜に糸を紡ぐ家の霊の呼び名として残った可能性が指摘されている。紡織を司る神格が、家の隅の小さな霊に落ちてきたことになる。

なお、現代の作品によく出てくる苔と草に覆われた「森のキキーモラ」「沼のキキーモラ」は、比較的新しい像である。伝承のキキーモラは、まず家のなかの存在であった。

文化的足跡

リャードフの交響詩《キキーモラ》(1909年)は、この霊を音楽の主題にした早い例である。ソ連期以降は児童文学とアニメの常連となり、多くは沼に住む醜い老婆として描かれた。今日ゲームや漫画に現れるキキーモラのほとんどは、この森・沼の像を引き継いでいる。家のなかで夜通し糸を紡ぐ、もとの姿を伝えるものは少ない。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q253026 — 骨格データの出典