ジューレーラール
ジューレーラール · ウデーローラール · Jhulelal
シンド人の最も崇敬される神格の一つで、水の神ヴァルナの化身とされる。イスラームの暴君の迫害に苦しむ人々がインダス川の岸で祈ると川から救い主が生まれたと伝えられ、大きな魚に乗る白髭の老人として表される。ムスリムにも崇敬され、1947年の分離独立後はディアスポラの神となった。
解説
概要
ジューレーラールは、インダス川下流のシンド地方の人々に最も篤く敬われる神の一柱で、水の神ヴァルナの化身とされる。伝承によれば、暴君ミルクシャーの迫害に苦しむ人々がインダス川の岸で祈ると、川から救い主の誕生が告げられた。大きな魚に乗る白い髭の老人の姿で表される。ムスリムの人々にも敬われ、1947年のインドとパキスタンの分離独立ののちは、故郷を離れたシンドの人々の結びつきの象徴となった。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
川から生まれた救い主
伝承によれば、暴君ミルクシャーは、ヒンドゥーの人々に改宗か死かを迫った。迫害に苦しむ人々がインダス川の岸で四十日のあいだ祈ると、川から声がして、救い主の誕生を告げた。こうして生まれた子は、揺りかごのなかで育ったという。名の「ジューレー」は「揺れる」を意味し、揺りかご(ジューラー)で揺られる者という意味になる。やがてジューレーラールは奇跡を示して暴君を改心させ、信仰の自由を認めさせた。
インダス川の神
インダス川は、シンドの人々の命の源である。ジューレーラールは水の神ヴァルナの化身とされ、大きな魚(パッラー)に乗る、白い髭の老人の姿で表される。その誕生日チェーティー・チャンドは、シンドの人々の新年として祝われる。
ムスリムとともに
シンドのムスリムの人々は、同じ存在を聖者ホージャ・ヒズルやシャーバーズ・カランダルと重ね合わせて敬ってきた。南アジアで広く歌われるカウワーリーの名曲「ダマー・ダム・マスト・カランダル」の歌詞にも、ジューレーラールの名が現れる。ボンビビやラームデーヴ・ピールと同じく、宗教の境をまたいで敬われる神である。
故郷を離れた神
1947年、インドとパキスタンが分かれて独立すると、シンドのヒンドゥーの人々の多くはインドへ移り住んだ。ジューレーラールへの信仰は移住先のインドの各地に持ち込まれ、故郷を失った人々の結びつきの象徴となった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ジューレーラールを描いた図である。
関わる神格・伝承
ヴァルナの化身とされ、ホージャ・ヒズルと重ね合わされる。
文化的足跡
チェーティー・チャンドは、今日もシンドの人々の共同体で最も重要な祭である。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。