イリュリオス
イリュリオス · Illyrius · Illyrios
カドモスとハルモニアーの末子でイリュリアの名祖。両親がイリュリアの王となったのちに生まれた。一説にはポリュペーモスの子で、ケルト人の祖ケルトスと兄弟とされる。
解説
概要
イリュリオス(Ἰλλύριος)は、ギリシア神話の人物である。テーバイの王カドモスとハルモニアーの子で、アウトノエー、イーノー、セメレー、アガウエー、ポリュドーロスと兄弟姉妹にあたる。
イリュリアの名祖である。カドモスがイリュリア人の王となったのちに生まれたとされる。
神話・物語
カドモスとハルモニアーは、テーバイを去ったのちイリュリアへ赴き、そこで王となった。晩年の二人は蛇に姿を変えたと伝えられる。イリュリオスは、この地で生まれた末子である。
一説によれば(アッピアノス)、イリュリオスはポリュペーモスとガラテイアの子で、ガラースとケルトスの兄弟であり、それぞれイリュリア人、ガラテイア人、ケルト人の祖であるとされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この人物が担うのは、民族の名祖という機能である。ギリシア人は周辺の諸民族の起源を、自らの神話上の人物に帰することによって説明した。イリュリア人の祖がテーバイ王の子であるという系譜は、その一例である。
二つの系譜が並存する点も見逃せない。カドモスの子とする説は、テーバイ王家を通じてギリシアと結ぶ。ポリュペーモスの子とする説は、キュクロープスの子孫という周縁的な起源を与える。同じ民族の起源が、文明の側と野蛮の側の双方に配されている。
関わる神格・伝承
父はカドモス(あるいはポリュペーモス)、母はハルモニアー(あるいはガラテイア)。
アッピアノスの系譜では、ケルト人の祖ケルトスと兄弟である。ギリシア人にとって北方と西方の異民族が、同じ親から生まれたことになる。
文化的足跡
イリュリアは今日のバルカン半島西部にあたる。イリュリア人はローマに征服され、その言語は失われた。アルバニア語をその末裔とする説がある。
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。カドモスの子として系譜に現れる程度である。