フン・フナフプー
フン・フナフプー · ヴクブ・フナフプー · トウモロコシの神
双子の英雄の父。弟とともに球戯の騒がしさを咎められて冥界シバルバーに招かれ、殺されて首を瓢箪の木に掛けられた。その首が冥界の主の娘に唾を吐きかけて双子を身ごもらせた。古典期美術ではトウモロコシの神と同定される。
解説
概要
フン・フナフプー(「一フナフプー」)は、後古典期後期のマヤ神話の人物であり、その名は暦の第二十日フナフプー——古典期のアハウ(「主」)に対応する——に結びつく。
その物語は初期植民地期の『ポポル・ヴフ』写本の一部をなす。この資料によれば、フン・フナフプーは双子の英雄フナフプーとシュバランケの父である。
また、双子の異母兄で職人と書記の守護者であるフン・チョウエンとフン・バツの父でもある。
神話・物語
フン・フナフプーは、弟のヴクブ・フナフプー(「七フナフプー」)と一対をなす。双子の英雄の一つ前の世代にあたるこの兄弟は、地上で球技に興じて騒がしくしたため、冥界シバルバーの主たちに招かれた。シバルバーでだまされて闇の家に入れられ、試練に敗れて殺された。フン・フナフプーの首は切り落とされ、瓢箪の木に掛けられた。すると木は実をつけ、どれが首なのか分からなくなったという。
冥界の主の娘シュキックが、噂を聞いてその木を訪れた。首は彼女に語りかけ、手を差し出させて唾を吐きかけた。わたしの顔はもう骨にすぎない、だが子は父の姿を失うことはない、と告げたという。シュキックは身ごもり、父に殺されそうになって地上へ逃れ、フン・フナフプーの母シュムカネーのもとで双子を産んだ。
古典期のマヤの美術では、フン・フナフプーはトウモロコシの神と同じ神とされる。殺されて地に埋められ、その子によって蘇るという物語が、トウモロコシの種を蒔き、芽が出ることに対応しているのである。亀の甲羅を割って若いトウモロコシの神が現れる図像が、多くの土器に描かれている。
図像と象徴
死んで子によって蘇るという構造が、この神を規定する。父は殺されるが、その唾によって子が生まれ、子が父の仇を討つ。
関わる神格・伝承
弟はヴクブ・フナフプー。子は双子の英雄、およびフン・バツとフン・チョウエン。母はシュムカネー。
文化的足跡
トウモロコシの神としてのフン・フナフプーの図像は、古典期マヤ美術の主要な主題である。パレンケの浮彫、多数の彩文土器に描かれる。
なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。