ハ
ハ · Ha · ḥꜣ
エジプト西方砂漠とオアシスの神で、砂漠の丘の象形文字を頭に載せた男として描かれる。リビュア人の侵入からエジプトを守るとされ、セトと結びつく。西方が死者の国であることから冥界とも関わる。
解説
概要
ハ(Ha、古代エジプト語 ḥꜣ)は、古代エジプトの宗教において、西方砂漠と、エジプト西方砂漠の肥沃なオアシスの神であった。
ドゥアト(冥界)と結びつけられ、砂漠の丘を表す象形文字の記号を頭に載せた男として描かれた。
職能
ハは、侵略する古代リビュア人のような敵からエジプトを守ると言われた。セトと結びつけられる。セトがナイルの西方を表し、両者が砂漠という似た属性を持つためである。
古代エジプトにおいていつ崇拝されたかは不明である。しかし当初は豊穣の神であり、ほとんど知られていない神の子であった。
西方砂漠のオアシス——シワ、バハリヤ、ファラフラ、ダフラ、ハルガ——は、砂漠のなかの緑地であり、交易路の要衝であった。ハはこれらのオアシスの守護神である。
西方の観念
エジプトにおいて西方は死者の国である。太陽が沈む方角であり、墓地は常にナイルの西岸に築かれた。「西方の者」(イメンティウ)は死者を意味する。
ハが西方砂漠の神であり、同時に冥界と結びつくのは、この観念による。砂漠を越えることと死ぬことが、同じ方向への移動として理解されている。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。砂漠の丘(三つの丘を表す記号)を頭に載せた男として表される。
頭に地形の記号を載せるという表現は、エジプトの神々の図像に共通する。神の名や属性を表す象形文字を頭上に置くことで、その神が同定される。
関わる神格・伝承
セトと結びつく。アシュと職能を共有する。西方の女神イメンテトとも領域が重なる。
文化的足跡
西方砂漠のオアシスは、今日もエジプトの重要な農業地帯であり、古代の交易路の記憶を留めている。