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PLATE — ДРЕКАВАЦ
SLAVI · スラヴ神話
ДРЕКАВАЦ

ドレカヴァツ

ドレカヴァク · ドレカロ · クレカヴァツ

南スラヴに語られる「わめくもの」。安らげぬ死者や洗礼を受けずに死んだ子の魂とされ、姿の記述は地域ごとにまるで違うが、耳をつんざく叫び声だけは一致する。

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解説

概要

ドレカヴァツ(Дрекавац / Drekavac)は、南スラヴ、とりわけセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニアに語られる怪異である。名は「わめく、金切り声をあげる」を意味する動詞ドレチャティ(дречати)から来ており、そのまま「わめくもの」を指す。地域によってドレカロ、クレカヴァツ、ズドレカヴァツ、ズリカヴァツ、ツヴィリェクなどと呼ばれる。

姿の記述は驚くほど一定しない。犬に似て二足で歩くもの、猫の頭と長い首を持つもの、片脚で目が灯のように光るもの、白い毛の猿のようなもの、山羊の脚を持つ人型。共通するのはただ一点、声である。この存在を成り立たせているのは形ではなく、夜の森から聞こえる叫び声のほうである。

登場する物語

まとまった物語はない。あるのは、その声を聞いた者の話である。

出自の説明は二筋に分かれる。一つは、罪を犯して死んだ者、溺死者、縊死者、自死した者、しきたり通りに葬られなかった者の魂が安らぎを得られず、夜ごと墓から出て人を脅かすという筋である。マグライ周辺では戦死した兵の魂とされ、コザルスカ・ドゥビツァ周辺では墓から出て闇のなかで光り、埋葬された経帷子を引きずって歩く死人として語られた。

もう一つは、洗礼を受けずに死んだ子の魂とする筋である。この場合、ドレカヴァツは夜ごと親の家のまわりを回り、墓地を通りかかる人に「洗礼を授けてくれ」と乞う。グルジャ地方では、細長く筋の入った紡錘形の身体に、細い首と不釣り合いに大きな頭を載せた姿で語られ、これは死んだ洗礼前の子の魂だとされた。同じ観念は、ヤウド、ナヴ、ネクルシュテナツ、プラカヴァツ、スヴィラツといった名でも呼ばれる。ナヴと地続きの存在である。

叫び声は、幼子の泣き声、狼の遠吠え、山羊の鳴き声、猫の声、鳥の甲高い声にたとえられる。聞いた者は耳が聞こえなくなるという。指には鉤爪のような長い爪がある。日の光と犬を恐れ、真夜中から夜明けまでのあいだ、墓地と森を歩き回っているときにだけ出会う。最も危険なのは「洗礼を受けていない日々」——正教のクリスマスから神現祭までの十二日——である。

襲い方も伝わる。夜更けに墓地や森の近くにいる者の背に跳び乗り、一晩じゅう背負って歩かせる。従わなければ爪で引き裂く。最初の鶏が鳴くと、疲れ果てた犠牲者を道端に突き飛ばして去る。水車小屋や沼、川、柳藪のそばで人を襲い、淵へ引きずり込んで溺れさせるとも語られ、この振舞いはヴォジャノーイに近い。

現れること自体が凶兆である。人の姿で現れれば人の死を、獣の姿で現れれば家畜の疫病を予告する。戦、火事、疫病の前触れともされた。影が人にかかれば、その人は不治の病を得て間もなく死ぬ。夢に現れて眠る者を苦しめることもある。魂が安らぎを得ないかぎり、この存在は滅びない。

図像と象徴

図像はない。古い絵も彫刻も伝わらず、本項では主画像を置いていない。地域ごとに姿の記述が大きく食い違う以上、一つの図に代表させること自体がふさわしくない。

象徴の中心にあるのは、洗礼を受けずに死んだ子である。キリスト教の枠組みでは、洗礼前に死んだ子は共同体の秩序の外に置かれる。その居場所のなさが、夜ごと家のまわりを回り、通行人に洗礼をせがむ声として形をとった。北欧のミュリングや、ポーランドのポロニェツと同じ観念の圏に属する。

近代の目撃談は、伝承とは別物として扱う必要がある。1992年12月、クルシェヴァツ近郊のクルヴァヴィツァ村で見慣れぬ動物の死骸が見つかり、ドレカヴァツだと報じられた。犬に似た体、蛇のような頭、カンガルーのような後脚、指のあいだの水掻き——しかし正体は腐敗した狐の死骸であった。2003年にはディヴチバレ近くのトメティノ・ポリェで羊が相次いで襲われ、村人の一部がドレカヴァツの仕業だと語ったが、襲撃が昼間に起きている点を挙げて否定する村人もいた。夜の存在であるという伝承の側の作法が、目撃談を検証する物差しになっている。

関係する神格・退治した英雄

退治する英雄はいない。魂が安らぎを得るのを待つほかない、というのがこの怪異の扱いである。

近い存在は多い。スィルミアに記録されたブカヴァツは、六本脚とねじれた角、ぬめる皮膚と長い尾を持ち、水から夜に現れて大きな音を立て、出会った人や獣を絞め殺そうとする。名の由来が声である点も共通する。

ヘルツェゴヴィナに伝わるプラカヴァツ(Plakavac、「泣くもの」)は、ドレカヴァツと最も近い。母親自身の手で絞め殺された新生児が、夜ごと墓から起き上がり、小さな吸血鬼のような姿で家のまわりを回って泣き叫ぶ。ただし、それ以上の害はなさないという。名がドレク(叫び)ではなくプラチュ(泣き)から来ている点に、この存在の性格がそのまま現れている。同じ圏内には、吸血鬼と化した早産児ヤウド(jaud)、洗礼を受けずに死んだ子を指すネクルシュテナツ、笛を吹く音で知られるスヴィラツもいる。いずれも「まっとうに死ねなかった者」という一点で結ばれている。東スラヴでこの一群を指す語が不浄なる力であり、ドレカヴァツもその南側の姿にあたる。

セルビアでは、子どもを怖がらせる役はのちにババロガとバウクに移った。ドレカヴァツの名は、大人のあいだで語られる怪談のほうへ残ったことになる。

文化的足跡

ブランコ・チョピッチの短編「勇敢なミタと沼のドレカヴァツ」は、この存在の扱いをよく示す。沼から響く謎の叫びに漁師たちが怯えて漁をやめ、村が飢えかける。少年ミタが調べに出て「ドレカヴァツ」を捕まえると、それはその土地には珍しいサンカノゴイという鳥であった。

現代の創作でもよく使われる。『マジック:ザ・ギャザリング』のカード、『EVE Online』の艦艇名、『DmC デビル メイ クライ』の敵、セルビアのカードゲーム、そしてセルビアのスラッシュメタルバンドやフィンランドのロルディの楽曲名。日本語圏でも、名の響きの良さからゲームやライトノベルに登場する。

ズラティボル山の村々では、いまも聞いたという証言が絶えない。姿の記述が定まらないまま名だけが生き続けているのは、この存在がもともと目ではなく耳の産物だからだろう。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1258317 — 骨格データの出典
Commons
Drekavac — 図像カテゴリ