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クリーナ
PLATE — CLÍODHNA
CELTAE · ケルト神話
CLÍODHNA

クリーナ

クリオナ · クリードナ · クリーオナ

ジョン・ファーガス・オヘア画(R・D・ジョイス『アイルランド騎士道譚』所収《エイリーンと妖精の女王》) PUBLIC DOMAIN

南マンスターの妖精を統べるバンシーの女王とされるアイルランドの女神。愛と美の女神とも語られ、病を癒す歌をうたう三羽の鳥を従える。

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解説

概要

クリーナ(Clíodhna、クリオナ、クリードナとも)は、アイルランド神話の女神である。トゥアハ・デ・ダナーンに属し、南マンスター(デズモンド)の妖精たちを統べるバンシーの女王とされる。

一方で愛と美の女神とも語られ、コーク県の守護者と見なされてきた。異界の樹の林檎を食べる三羽の色鮮やかな鳥を従え、その歌声は病を癒すという。館はマロウから八キロほどの岩の堆積の中にあり、その場所は今もカリグ・クリーナ(クリーナの岩)と呼ばれている。

神話・物語

最もよく知られるのが「クリーナの波」の物語である。中世アイルランド文学で現存最長の作品『老人たちの語らい』が伝える。

フィアナの時代、アルスター王の子キャヴァンが小舟でアイルランドを離れようとし、山のような白波に遭う。灰色の馬に乗る騎手に助けられて着いたのは、マナナンが治める異界の地ティル・タルンギレ(約束の地)であった。饗宴に迎えられたキャヴァンを見て、大ドルイドのゲバンの娘クリーナが恋に落ち、翌日ともに去ることを約す。

二人はアイルランドのテテの浜に着いた。キャヴァンが狩りに上陸し、クリーナを舟に残す。そこへマナナンの人々が船で追ってきて、そのうちの一人が策を弄して音楽を奏でる。クリーナは眠りに落ち、大波がさらっていった。その場所はトン・クリーナ(クリーナの波)と呼ばれ、グランドア湾の近くにあたる。彼女が溺れたかどうかは、伝本によって違う。

『リズモアの書』の「キアンの子ティーグの航海」では、彼女は自ら名乗る。トゥアハ・デ・ダナーンのゲナン・マク・トレオンの娘であり、エオヒド・レドウェポンの子キャヴァンの恋人であって、マンスターの境の「クリーナの波」は自分にちなむのだ、と。

図像と象徴

古い図像はない。本サイトが掲げるのは、ジョン・ファーガス・オヘア(1838〜1922)がロバート・ドワイヤー・ジョイス『アイルランド騎士道譚』に寄せた挿絵《エイリーンと妖精の女王》である。19世紀アイルランドの復興運動のなかで、この女神が妖精の女王としてどう思い描かれたかを示す。

三羽の鳥と、癒す歌声。この二つがこの女神の属性である。異界の樹から林檎をついばむ鳥という図柄は、アイルランドの異界表象に繰り返し現れる。波もまた属性の一つに数えてよい。トン・クリーナは実在の海域であり、その轟きは彼女の名で呼ばれ続けた。

関わる神格・伝承

バンシーの女王という位置づけが、この女神の性格を決めている。バンシーは死を告げる女の霊であり、特定の氏族に付き従うものとされた。クリーナの場合、結びついた家系がはっきりしている。デズモンドのマッカーシー家は彼女を自家の妖精女として迎え、オキーフ家、フィッツジェラルド家、オドノヴァン家にも伝承が残る。

これらの家はいずれも、かつてウィ・フィジェンティの領域に関わった一族である。神話上の女神が、中世以降の家系の系譜のなかに組み込まれていったことになる。地域と血縁に結びついた守護霊としてのバンシーの性格が、女神の側から見えてくる。

文化的足跡

アイルランド独立運動の指導者マイケル・コリンズも、この女神の話を知っていた。彼が通ったロスカーベリーの学校でその物語が語られ、日曜には「クリーナの岩」へ遠足に出かけたという。彼自身、ウィ・フィジェンティの一族オ・コラーンの血を引いていた。

コーク県では今も地名として名が残る。神話の人物が土地の名になり、その土地に住む人々が自分の一族の守護者と考える——アイルランドの神話が近代までどう生き延びたかを、この女神は具体的に示している。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1101752 — 骨格データの出典
Commons
Clíodhna — 図像カテゴリ