クトニオス
クトニオス · Chthonius · Khthonios
「大地の」を意味する名。カドモスが蒔いた竜の歯から生じたスパルトイの生き残りの一人が最もよく知られ、テーバイ貴族の祖とされる。ハーデースの添え名でもある。
解説
概要
クトニオス(Χθόνιος、「大地の、地下の」)は、ギリシア神話の人物の名である。同名の人物が複数おり、主として四人が知られる。
また冥界の王ハーデースを「ゼウス・クトニオス」とも呼び、これは冥界の神の仁慈な一面を表す添え名である。
同名の人物たち
スパルトイの一人。 カドモスが竜の歯を蒔いて生じた武装した男たち(スパルトイ、「蒔かれた者たち」)のうち、互いに殺し合って生き残った五人の一人。エキーオーン、ウーダイオス、ヒュペレーノール、ペロールスとともに、テーバイの貴族の祖となった。
大地から生まれた者に「大地の」という名が与えられている。
アイギュプトスの子の一人。 五十人の子の一人で、婚礼の夜にダナオスの娘に殺された。
ケンタウロス。 ペイリトオスとヒッポダメイアの婚礼の宴で、ネストールに討たれた。
ポセイドーンの子。 ポセイドーンとシューメーの子。シューメー島の名祖。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この名が示すのは、大地との結びつきである。スパルトイのクトニオスは文字どおり大地から生まれた。ハーデースの添え名としては、地下の神を指す。同じ形容詞が、人の名にも神の添え名にも用いられている。
テーバイの貴族がスパルトイを祖とすることは、アテーナイのアウトクトーン(ケクロプスら)の観念と対をなす。いずれも自らを土地そのものから生じた者と位置づける。
関わる神格・伝承
第一はカドモスに関わる。ハーデースの添え名としての用法についてはハーデースの項に譲る。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。スパルトイの五人を列挙する際に現れる程度である。