ケーユクス
ケユクス · Ceyx · Kēyx
明けの明星の子でアルキュオネーの夫。航海中に溺れ、亡霊となって妻に死を告げた。悲しむ妻とともに翡翠に変えられ、「ハルキオンの日々」の由来となった。
解説
概要
ケーユクス(Κήϋξ)は、ギリシア神話の人物の名である。主として二人が知られる。
同名の人物たち
明けの明星ヘオースポロス(ヘスペロスのきょうだい)の子のケーユクスは、ダイダリオーンのきょうだいで、アルキュオネーの夫である。夫婦は幸せに暮らしていたが、アポロドーロスによれば、二人がたがいをゼウスとヘーラーと呼び合っていたため、ゼウスの怒りを招き、二人とも鳥に変えられた——アルキュオネーはカワセミに、ケーユクスは同じ名で呼ばれる海鳥に。オウィディウスの『変身物語』第11巻の版では、神託を求めて船出したケーユクスが嵐で溺れ、眠りの神ヒュプノスの子モルペウスが夫の姿をとって妻の枕元に現れ、その死を告げる。アルキュオネーは悲しみのあまり海に身を投げ、二人を哀れんだ神々は、二人をカワセミに変えた。カワセミが海の上に巣を作るあいだは、風の主アイオロスが風を鎮めるという。冬至のころの穏やかな日々を指す「ハルキオンの日々」の由来である。
トラーキースの王ケーユクスは、テッサリアのトラーキース地方の王で、アムピトリュオーンの甥にあたり、ヘーラクレースとはいとこの間柄になる。ヘーラクレースと親しく、たびたびエウリュステウスの手から匿った。子のヒッパソスはヘーラクレースとともにオイカリアのエウリュトスと戦って殺され、娘のテミストノエーはキュクノスと結婚した。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
第一のケーユクスの物語は、オウィディウスによって最も美しい変身譚の一つに仕立てられた。嵐の描写、亡霊の訪れ、そして海辺で夫の遺体を見つける妻——一連の場面が、悲しみの果ての変身として結ばれる。
関わる神格・伝承
第一の父はヘオースポロス、妻はアルキュオネー。第二はヘーラクレースの友で、アムピトリュオーンの甥。
文化的足跡
「ハルキオンの日々」(halcyon days)という英語の成句は、この物語に由来する。穏やかで幸福な時期を指す表現として、今日も用いられる。
日本語圏では、アルキュオネーの夫として言及されることがある。翡翠の由来譚として、比較的よく知られた物語である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。