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カマソッツ
PLATE — KAMASOTZʼ
MAYA · マヤ神話
KAMASOTZʼ

カマソッツ

カマソッソ|カマ・ソッツ|Camazotz|Cama-Zotz|Kamasotzʼ|Zotz

Tracy Barnett CC BY-SA 2.0

マヤ神話のコウモリの神。名は「死のコウモリ」を意味し、冥界シバルバーのコウモリの館に棲む。『ポポル・ヴフ』では英雄フンアフプーの首を刎ねた。

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解説

概要

カマソッツ(Kamasotzʼ、「死のコウモリ」の意)は、マヤ神話に伝わるコウモリの神である。キチェ・マヤのポポル・ヴフでは、冥界シバルバーの主たちに仕え、その領内の「コウモリの館」に棲む存在として語られる。メソアメリカにおいてコウモリは夜と死、そして供犠に結びつく動物であり、この神はその観念をもっとも鮮明に体現する。

神話・物語

英雄双子フンアフプーとイシュバランケーは、冥界の主フン・カメー(一の死)とウクブ・カメー(七の死)に招かれ、いくつもの館で一夜を過ごす試練を課される。暗黒の館、刃の館、寒気の館、ジャガーの館を切り抜けた双子が最後に入ったのが、コウモリの館であった。館の中を無数のカマソッツが飛び交うため、双子は吹き矢筒の内に身を縮めて夜をしのいだ。夜明けが近いと思ったフンアフプーが筒から頭を出した瞬間、一匹のカマソッツがその首を刎ねる。首は球戯場へ運ばれ、神々の球として吊るされた。イシュバランケーは兄の胴にカボチャで作った仮の首を据え、翌日の試合の最中に本物の首を取り戻す。首を失い、また取り戻すというこの筋書きは、やがて双子が冥界の主を倒して太陽と月へ変じる物語の折り返し点にあたる。

図像と象徴

古典期のマヤ美術には、葉鼻のコウモリがしばしば表される。目を見開き、耳を立て、口から不吉な息を吐く姿で、敵に病をもたらす分身霊「ワイ」として彩色土器に描かれる例が多い。コウモリの頭部は文字としても用いられ、コパンの紋章文字や暦の月名ソツ(sotzʼ)がこれにあたる。立体作品では、グアテマラ市のポポル・ヴフ博物館が所蔵する石彫のように、大きな耳と鼻葉を強調したコウモリ神の像が伝わる。

ただし、こうした古典期のコウモリ図像を一括してカマソッツと呼ぶ慣行には、近年再検討が加えられている。ブレイディとコルトマンは2016年の論考で、マヤのコウモリ表現は形も文脈も多様であり、20世紀初頭に定着した同定が十分な検証を経ないまま踏襲されてきたと指摘した。キチェの文献に現れる名と、古典期の図像は、いったん切り離して考える必要がある。

系譜と関係

カマソッツに親子や配偶の系譜は語られない。属するのは冥界の秩序であり、フン・カメーとウクブ・カメーを頂点とする死の主たちの配下として現れる。ポポル・ヴフの記述は、単数の固有名としても、コウモリの館に群れる存在の総称としても読める書き方になっており、一柱の神と見るか一族の霊と見るかは、訳者と研究者によって扱いが分かれる。チアパス高地のツォツィル・マヤは、みずからの呼称をソツ(コウモリ)に由来させている。冥界を統べる者という点ではアステカのミクトランテクートリミクトランの観念と比べられるが、系統を同じくするわけではない。

文化的足跡

コウモリを死と結びつける観念は、人身供犠の図像とともにメソアメリカ美術の一角を占め、現代のグアテマラやメキシコでも先住民文化を示す意匠として引かれる。1962年に発表されたマデレイン・レングルの小説『五次元世界のぼうけん』は、暗黒に支配された惑星の名にカマソッツを用いた。以後、幻想文学やゲームにも、コウモリの怪物あるいは神の名として登場している。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q2307579 — 骨格データの出典
Commons
Camazotz — 図像カテゴリ