アタルガティス
アタルガティス · デルケトー · Atargatis
北シリアの主要な女神で、アスタルトとアナトの名が融合したものとされる。魚と鳩を聖獣とし、神殿の池の魚を食べることは禁じられた。半人半魚の姿で表されることがあり、ヨーロッパの人魚の伝承の起源の一つとされる。
解説
概要
アタルガティス(ギリシア人にはデルケトーとして知られる)は、古典古代における北シリアの主要な女神であった。
主として豊穣の女神であるが、その都市と民のバアラト(「女主」)として、彼らの保護と福利にも責を負った。その主要な聖所はヒエラポリス——現在のマンビジ、アレッポの北東——にあった。
ミハイル・ロストフツェフは、彼女を「北シリアの地の大いなる女主」と呼んだ。その配偶者は通常ハダドである。
なお本サイトの分類では、フェニキアの体系に含めて扱う。
名
「アタルガティス」は、アスタルト(アタル)とアナト(アティ)の名が合わさったものとする説が有力である。
二女神の融合。 別々の女神が一つになった。
魚と鳩
魚。 アタルガティスの聖獣は魚である。
その神殿の池には魚が飼われ、これを食べることは禁じられた。
半人半魚。 一部の図像において、上半身が女で下半身が魚の姿で表される。
人魚の原型。 これがヨーロッパの人魚の伝承の起源の一つとされる。
鳩。 鳩も聖なる鳥であり、殺すことが禁じられた。
デルケトーの物語
ギリシア語で伝わる物語がある。
恥じて水に入る。 デルケトーは若者を愛し、子(セミラミス)を産んだ。恥じて子を捨て、自らは湖に身を投げた。
魚になる。 湖の魚が彼女を助け、あるいは彼女は半分魚になった。
セミラミス。 捨てられた子は鳩に養われ、のちにアッシリアの女王セミラミスになったという。
ヒエラポリスの神殿
ルキアノス(あるいはその名で伝わる著者)の『シリアの女神について』は、ヒエラポリスの神殿を詳しく記す。
去勢した祭司。 ガッロイと呼ばれる祭司が、祭の日に自ら去勢して神に仕えたと記される。
柱に登る。 神殿の前の巨大な柱に、男が年に二度登り、七日間そこで過ごしたという。
資料の性格。 この記述は、ギリシア語で書かれた外部からの観察である。誇張と誤解を含む可能性が指摘されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ナバテアのアタルガティス像である(100年頃、ヨルダン考古学博物館蔵)。
関わる神格・伝承
配偶者はハダド。アスタルトとアナトの融合とされる。
文化的足跡
アタルガティスの半人半魚の図像は、人魚の起源をめぐる議論において繰り返し引かれる。