アンガーラ・パラメーシュワリー
アンガーラ・パラメーシュワリー · アンガーランマン · アンガーラ・デーヴィー
南インドの村々で守護の神格として祀られる女神で、火葬場と墓地に住む。毎年、女神の像を墓地へ運ぶ「火葬場の略奪」の祭が営まれる。ブラフマーの首を切った罪で首が手から離れなくなったシヴァを救ったとされる。ヒンドゥー教の主流の体系より古い在来の女神である。
解説
概要
アンガーラ・パラメーシュワリー(アンガーランマン、アンガーラ・デーヴィーとも)は、南インドの村々で、村を守る神として祀られる女神である。パールヴァティーやカーリーの一つの姿とされ、七柱の母神マートリカーの一柱ともみなされる。火葬場と墓地に住む女神として知られ、毎年、女神の像を墓地へ運ぶ「火葬場の略奪」と呼ばれる祭が営まれる。インド全体に広まった大きな女神たちよりも古い、土地に根ざした女神である。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
火葬場の祭
アンガーランマンは、火葬場と墓地の女神である。毎年二月から三月にかけてのマーシ月には、マヤーナ・コッライ(「火葬場の略奪」)と呼ばれる祭が営まれ、女神の像が墓地へ運ばれて、そこで供物が撒かれる。生きている者が死者の領域に入り、女神を讃えるのである。
シヴァの罪を祓う
伝承によれば、シヴァは創造神ブラフマーの五番目の首を切り落とした。その罪のために、切った首がシヴァの手に貼りついて離れなくなった。シヴァはその首を椀にして、乞食となって各地をさまよった。パールヴァティーはアンガーランマンとなり、首をシヴァの手から離させて救ったという。至高の男神の罪を、村の女神が祓ったのである。
土地の古い女神
アンガーランマンへの信仰は、バラモンの体系化された信仰よりも古いものと考えられている。祀るのはバラモンの祭司ではなく、村の祭司である。パールヴァティーやカーリーと同一視されるようになったのは、後の時代のことである。土地の女神がインド全体に広まった女神の一つの姿として取り込まれていく過程は、社会学者M・N・シュリーニヴァースが「サンスクリット化」と呼んだ現象の一例とされる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、シュリー・アンガーラ・パラメーシュワリー・アンマンの像である。
関わる神格・伝承
パールヴァティーやカーリーの一つの姿とされ、ペリヤーッチと重なる。
文化的足跡
タミル・ナードゥ州メールマラヤヌールのアンガーラ・パラメーシュワリー寺院では、マヤーナ・コッライの祭に数十万人が集まる。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。