17世紀に編まれた西欧の魔術書(グリモワール)。『レメゲトン』とも。五部から成り、第一部「ゴエティア」がソロモン王の使役したとされる七十二柱の悪魔を、位階・姿・能力・印章とともに列挙する。ソロモンがこれらを真鍮の器に封じて湖に沈めたが、宝を求めたバビロニア人が器を割って解き放ったという枠の物語を持つ。
七十二柱の多くは、周辺民族の神の名に由来する。第一位バエルはバアル、第二十九位アスタロトはアスタルト、第六十八位ベリアル、そして第三十二位アスモダイはゾロアスター教のアエーシュマに遡る。征服された民の神が、征服した宗教の悪魔として体系に組み込まれる構造がここに現れている。
19世紀末から20世紀初頭にかけて S・L・マグレガー・メイザースとアレイスター・クロウリーが英訳・刊行し、以後の西洋儀式魔術とポピュラー文化に大きな影響を与えた。