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雪女
PLATE — 雪女
YAMATO · 日本神話
雪女

雪女

雪女郎 · 雪娘 · 雪おんば

Sawaki Suushi (佐脇嵩之) PUBLIC DOMAIN

雪国の伝承に伝わる妖怪。雪の夜に白い装束で現れる女の姿をとり、人を凍らせるとも、命を助けるとも語られる。小泉八雲『怪談』の一篇によって、その姿は広く知られるようになった。

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解説

概要

雪女(ゆきおんな)は、雪深い地方の伝承に伝わる妖怪である。雪の降る夜、白い着物をまとった色白の女として現れ、寝ている人に冷たい息を吹きかけて凍らせるとも、あるいは若者の命を見逃すとも語られる。長い黒髪と、死に装束を思わせる白衣が、その典型的な姿である。東北から北信越、関東、西日本まで各地で語られ、姿も役割も一様でない。日本の伝承のなかでも、地域ごとの語りが厚く積み重なった存在といえる。

伝承と物語

雪女の記録は古い。室町末期の連歌師、宗祇(そうぎ)の見聞を伝える『宗祇諸国物語』には、越後で出会った雪女が、白い衣をまとい白髪の、一丈(約三メートル)ほどもある大女として描かれる。今日広く知られる若く美しい姿とは、かなり隔たりがある。呼び名も地域によって多く、雪女郎・雪娘・雪おんば・ユキオナゴ・ツララオンナなど、氷柱(つらら)に結びつけた異称も伝わる。岩手の『遠野物語』では、小正月の夜に多くの子を連れて現れる雪の精として語られ、山小屋の戸を叩く、より怪物的な雪女の話も各地に残る。

この妖怪の姿を今日のかたちに定めたのは、明治期の作家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)である。『怪談』(一九〇四年)に収められた一篇では、吹雪に閉じ込められた木こりの親子のもとに雪女が現れ、老父の命を奪う一方、若い巳之吉(みのきち)には「今夜のことを誰にも語るな」と誓わせて見逃す。のちに巳之吉はお雪という女を妻に迎えて子をもうけるが、ある夜あの出来事を口にしてしまう。お雪こそ雪女であった——正体を明かした彼女は、子らのために夫の命だけは奪わず、姿を消す。この物語が、以後の雪女像の原型となった。

図像と象徴

雪女は、白一色の配色と、静けさのなかにひそむ死の気配とによって象られる。白い肌、白い衣、そして黒髪の対比は、雪原の清冽さと、そこに潜む凍死の危うさとを同時に映す。弱点はしばしば火や熱とされ、囲炉裏に当たって溶けた、湯を嫌ったことで正体が露れたといった挿話が各地に分布する。江戸期の妖怪図には早くからその姿が描かれ、本項に掲げる佐脇嵩之『百怪図巻』の雪女は、うつむき加減に佇む白衣の女として静かに表されている。

象徴として雪女に託されるのは、雪国の暮らしそのものである。美しくも人を殺める雪の両義性、閉ざされた冬の夜の孤独と恐れが、一人の女の姿へと結晶している。人を凍らせる恐ろしさと、命を見逃す情との同居も、この妖怪の陰影を深くしている。

関わる伝承

雪女は、しばしば他の怪異と接点をもつ。子を抱いてくれと旅人にせがみ、引き受けると子がしだいに重くなるという話は、山姥や姑獲鳥(うぶめ)の伝承とも通じる。雪ん子を連れて現れる姿は、雪の精としての性格を色濃く残す。恐ろしいだけの存在ではなく、吹雪を耐え抜いた者に富や力を授けるという語りもあり、天狗と同じく、畏怖と恵みの両面をあわせもつ。

文化的足跡

一つの原典に還元できない多層の伝承であることが、かえって雪女を豊かにしている。小泉八雲によって決定版の姿が整えられたのち、雪女は小説・映画・漫画・アニメ・ゲームの常連となり、冷たさと美しさをあわせもつ人気の題材であり続けている。ただし作品ごとに造形や設定は自在に変えられており、各地の伝承が伝える雪女の姿とは切り分けて捉える必要がある。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q372468 — 骨格データの出典
Commons
Yuki-onna — 図像カテゴリ