ヴィシュヴァクセーナ
ヴィシュヴァクセーナ · Vishvaksena
ヴィシュヌの軍の総司令官で、天界ヴァイクンタの門番。名は「すべてを征する者」を意味する。南インドのヴィシュヌ派ではあらゆる儀礼に先立って祀られ、ほかの宗派でガネーシャが担う障害除去の役を担う。
解説
概要
ヴィシュヴァクセーナは、ヒンドゥー教で、ヴィシュヌの軍を率いる総司令官であり、その天界ヴァイクンタの門を守る番人である。名は「すべてを征する者」を意味する。ヴィシュヌを信仰する宗派では、あらゆる儀礼に先立ってまず彼が祀られる。ほかの宗派でガネーシャが担う、障害を取り除く役目を、ヴィシュヌ派では彼が担っているのである。
信仰
シヴァ派やスマールタ派の儀礼は、まず象の頭の神ガネーシャに祈ることから始まる。南インドのヴィシュヌ派(シュリーヴァイシュナヴァ派、ヴァイカーナサ派)では、その役をヴィシュヴァクセーナが担う。儀礼が妨げられることなく進むよう、はじめに障害を取り除くのである。ヴィシュヌに捧げた供物のお下がりを最初に受け取るのも、ヴィシュヴァクセーナだとされる。
6世紀から9世紀にかけて、タミル語でヴィシュヌを讃えた十二人の聖詩人アールヴァールのうち、最も重要なナンマールヴァールは、ヴィシュヴァクセーナの化身とされた。シュリーヴァイシュナヴァ派では、教えはヴィシュヌからラクシュミー、ヴィシュヴァクセーナ、ナンマールヴァールへと順に伝えられたとされる。
図像と象徴
ヴィシュヌに似た四本の腕を持ち、法螺貝と円盤を手にした姿で表される。主画像は、シュリーヴァイシュナヴァ派の中心であるシュリーランガムのランガナータスワーミ寺院である。
系譜と関係
ヴィシュヌに仕え、ガネーシャと役割を分け合う。
文化的足跡
南インドのヴィシュヌ派の寺院では、今日もヴィシュヴァクセーナの祠が欠かせない。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。