ウェルトゥムヌス
ウォルトゥムヌス · ヴェルトゥムヌス · Vertumnus
ローマの季節と変化と果樹の神。エトルリアのウォルトゥムナに由来する。老女に化けて果樹園のポーモーナに近づき、楡と葡萄の譬えで口説いた。アルチンボルドの果物の肖像画で知られる。
解説
概要
ウェルトゥムヌス(Vertumnus、ウォルトゥムヌスとも)は、ローマ神話において、季節、変化、植物の成長、そして庭と果樹の神である。意のままに姿を変えることができた。
オウィディウス『変身物語』第14巻によれば、この力を用いて老女に化け、ポーモーナの果樹園に入って話しかけ、求婚者を拒むことの危険を警告する物語(イーピスとアナクサレテーの挿話)を語って彼女を口説いた。ウェルトゥムヌスとポーモーナの物語は「最初の純粋にラテン的な物語」と呼ばれた。
祭はウェルトゥムナーリアと呼ばれ、8月13日に営まれた。
祭祀と起源
ウォルトゥムヌスの名は、おそらくエトルリアのウォルトゥムナに由来する。ラテン語における形成は、「変える」を意味する動詞ウェルテレの影響を受けたとみられ、それゆえウェルトゥムヌスの形が生じた。
前264年、ローマはエトルリアのウォルシニイを征服し、その主神ウォルトゥムナの像をローマに運んでアウェンティーヌスの丘に神殿を建てた。この征服がウェルトゥムヌスのローマにおける祭祀の起源とされる。エトルリア人街のウィクス・トゥスクスにも像があった。
プロペルティウス『エレゲイア』第4巻第2歌は、ウェルトゥムヌスの像自身が語る形で、その起源と変身の力を歌う。
神話・物語
ポーモーナは果樹園に閉じこもり、求婚者を寄せつけなかった。ウェルトゥムヌスは刈り入れ人、牛飼い、葡萄摘み、兵士、漁師に化けて近づいたが果たせず、ついに老女に化けて果樹園に入る。楡の木に絡む葡萄を指して、支えなしには葡萄が育たないと説き、求婚を拒んで石になったアナクサレテーの話を語った。それでも動かないポーモーナの前で、ウェルトゥムヌスは本来の若者の姿に戻り、その美しさにポーモーナは応じた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ルーベンス《ウェルトゥムヌスとポーモーナ》である(1617〜19年)。
変身という力が、この神を規定する。季節の変化を司る神が、自らも姿を変える。
アルチンボルドの《ウェルトゥムヌス》(1590年)は、皇帝ルドルフ2世を果物と野菜で構成した肖像であり、この神の名を最もよく知らしめた作品である。
関わる神格・伝承
妻はポーモーナ。エトルリアのウォルトゥムナに由来。
文化的足跡
アルチンボルドの作品を通じて、ウェルトゥムヌスは季節と豊穣を果実で表す神として、美術史上に固有の位置を得た。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。