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ヴェズルフェルニル
PLATE — VEÐRFÖLNIR
NORÐR · 北欧神話
VEÐRFÖLNIR

ヴェズルフェルニル

ヴェズルフェルニル · ヴェドルフェルニル · ヴェズルフォルニル

AM 738 4to(アイスランド語写本、1680年頃) PUBLIC DOMAIN

北欧神話で世界樹ユグドラシルの頂に止まる鷲の、その眉間に座る鷹。『散文のエッダ』にのみ名が伝わる。

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解説

概要

ヴェズルフェルニル(Veðrfölnir)は、北欧神話において世界樹ユグドラシルの頂に止まる鷲の、その眉間に座る鷹である。名は「嵐に色褪せた者」「風に晒された者」「風を萎ませる者」などと訳される。

この鳥について伝わるのは、居場所と名だけである。何をするのか、なぜ鷲の眉間にいるのかを、中世の資料はいっさい語らない。

登場する物語

古エッダ』の『グリームニルの言葉』は、ユグドラシルに棲む生き物を数え上げる。頂には物知りの鷲が止まり、根もとには蛇ニーズヘッグが横たわり、栗鼠ラタトスクが幹を上下して両者のあいだに言葉を運ぶ。ただしこの詩に鷹は現れない。

ヴェズルフェルニルの名が出るのは、スノッリの『散文のエッダ』の『ギュルヴィたぶらかし』第16章だけである。ギュルヴィがユグドラシルについてほかに知るべきことはあるかと問うと、高き者は答える——語るべきことは多い、と。トネリコの頂に鷲が止まり、多くのことを知っている。その両眼のあいだにはヴェズルフェルニルという名の鷹が座っている。ラタトスクという栗鼠がトネリコを駆け上り駆け下り、悪意ある言葉を運んで、鷲とニーズヘッグを煽り立てる。

記述はこれで尽きる。世界の終わりにどうなるかも、誰の眷属かも語られない。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、17世紀アイスランドの写本 AM 738 4to(1680年頃)に描かれたユグドラシル図の一部である。ラタトスクやニーズヘッグを描いた図と同じ写本に由来する。異教期の造形は知られておらず、この写本の図は、中世以後の書き手がスノッリの記述をどう読んだかを示す資料でもある。

ジョン・リンドウは、なぜ鷹が鷲の眉間に座るのか、どんな役割を果たすのかをスノッリが説明していないことを指摘し、「おそらくこの鷹は鷲の知恵に関わるのだろう」と述べる。さらに、オーディンの鴉のように飛び立って知識を集め、持ち帰るのかもしれないと推測している。あくまで推測であって、文献の裏づけはない。

樹の頂に鷲、根もとに蛇という配置については、ヒルダ・エリス・デイヴィッドソンがアジアの宇宙観との並行を指摘し、北方経由の影響の可能性を論じた。一方で彼女は、ゲルマンの諸族が森の開けた場所で神々を祀り、天空神を樫と結びつけていたことにも触れ、中心となる一本の樹が彼らにとっても自然な象徴であったはずだと述べている。外来の影響を想定せずとも説明はつく、という留保である。

関わる伝承

同じ樹に棲む生き物として、名を伝えない鷲、ラタトスク、ニーズヘッグ、そして幹を食む四頭の牡鹿がいる。ヴェズルフェルニルはこのうち最も情報の乏しい存在である。

北欧神話には、名だけが残って機能の伝わらない存在が少なくない。この鷹は、その最も極端な例といってよい。ある種の神話体系は、体系を完結させるために名前を必要とする。スノッリが古エッダにない鷹を書き加えたのだとすれば、それは彼が別の伝承を知っていたからかもしれないし、樹の描写を整えるために補ったのかもしれない。どちらとも決められない。

文化的足跡

ヴェズルフェルニルが単独で語られることはほとんどない。ユグドラシルの図解に鷲とともに描き込まれる小さな鳥として、あるいは北欧神話の生き物一覧の一項目として名が挙がる程度である。

近代の挿絵は、この鷹をしばしば鷲の頭の上に大きく描く。原典が言うのは「両眼のあいだに座る」であって、それがどれほどの大きさの鳥なのかも書かれていない。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q564585 — 骨格データの出典
Commons
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