ウプルヴァン
ウプルヴァン · ウッパラヴァンナ · ヴィシュヌ・デーヴィヨー
スリランカの守護神で、釈迦から国と仏教の守護を託されたとされる。名は「青い睡蓮の色」。中世以降ヴィシュヌと同一視され、今日は仏教寺院内のヴィシュヌの祠で祀られる。四守護神の一。
解説
概要
ウプルヴァン(シンハラ語 උපුල්වන් දෙවියෝ、パーリ語ウッパラヴァンナ、サンスクリット語ウトパラヴァルナ)は、スリランカの守護神(パーリ語ケッタパーラ)である。スリランカの仏教徒は、この神を国の仏教の守護者とも信じる。
名は身体の色を表し、「青い睡蓮の色」を意味する。ウプルヴァンの信仰はスリランカの中世に始まった。地元の伝承と伝説によれば、ウプルヴァンは釈迦がスリランカとその仏教の守護を託した神である。
歴史と伝説
スリランカの年代記『ディーパヴァンサ』『マハーヴァンサ』によれば、北インドの王子ヴィジャヤとその七百人の従者は、前543年にスリランカに到着した際、神ウプルヴァンに祝福された。釈迦が涅槃に入る際、帝釈天にスリランカの守護を命じ、帝釈天がこれをウプルヴァンに委ねたという。
ウプルヴァンの文献上の第二の出現は7〜8世紀にあり、数世紀の空白ののち13〜14世紀に卓越した神として再び名が現れる。
ヴィシュヌとの同一視
中世以降、ウプルヴァンはヒンドゥーのヴィシュヌと同一視されるようになった。青い身色という共通点がその根拠である。今日のスリランカでは、ウプルヴァンはヴィシュヌ・デーヴィヨーと呼ばれ、仏教寺院のなかにヴィシュヌの祠(デーワーラヤ)が置かれる。
しかし本来のウプルヴァンは、ヴィシュヌとは別のスリランカ固有の神であったとする研究者の指摘がある。同一視は、シンハラ王権が南インドの影響を受けた時期に進んだとみられる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、コロンボのシーマ・マラカ寺院のヴィシュヌ像である。今日のスリランカでウプルヴァンはこの姿で祀られる。
青い身色で、ヴィシュヌの持物——法螺貝、円盤、棍棒、蓮華——を持つ。
仏教国の守護神がヒンドゥーの最高神と同一視されるという経緯が、この神を規定する。仏教寺院のなかにヴィシュヌの祠があるという光景は、スリランカに固有である。
関わる神格・伝承
シンハラ仏教の四守護神——ナータ、ウプルヴァン(ヴィシュヌ)、カタラガマ、パッティニ——の一。
デーヴィヌワラ(ドンドラ)のウプルヴァン寺院は、中世の主要な聖地であったが、1587年にポルトガル人によって破壊された。
文化的足跡
スリランカの仏教寺院の多くに、ヴィシュヌ・デーワーラヤが併設されている。仏像を礼拝したのち、ヴィシュヌの祠で現世の願いを祈るという参拝の順序が定着している。
なお仏教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。