トモーロス
トモロス · Tmolus · Tmōlos
リューディアのトモーロス山の神。アポローンとパーンの音楽の競技で判定役を務めアポローンに軍配を上げたが、ミダース王が反論して驢馬の耳に変えられた。
解説
概要
トモーロス(Τμῶλος)は、ギリシア神話に登場する山の神、あるいは人間である。主として二人が知られる。
同名の人物たち
山の神。 リューディア地方のトモーロス山の神で、プルートーとのあいだにタンタロスをもうけたといわれる。ただし通常、タンタロスはゼウスとプルートーの子とされる。
オウィディウス『変身物語』によれば、アポローンとパーンが音楽の腕を競ったとき判定役となり、アポローンに勝利の裁定を下した。しかしその場に居合わせたミダース王だけがこの裁定に反論したため、アポローンはミダースの耳を驢馬の耳に変えた。
ヒュギーヌスによれば、この争いはアポローンとマルシュアースのあいだで起こったもので、トモーロスは判定者の役目をミダース王にも与え、両者はそれぞれ異なる判定を下したという。
リューディアの王。 オムパレーの夫。妻に王国を遺して死んだ。オムパレーはのちにヘーラクレースを奴隷として買い、女装させて糸を紡がせた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ただしアポローンとパーンの競技を描いた近世の絵画には、判定者としてトモーロスが現れることがある。
山の神が音楽の審判を務めるという設定が、この神格の性格を示している。山が判定し、王が反論し、王が罰せられる。自然の側が正しく、人間の側が誤るという構図である。
判定者の役をミダースにも与えたというヒュギーヌスの版では、二人の判定が食い違う。山と王の耳の違いが、そのまま罰の理由になっている。
関わる神格・伝承
第一はタンタロスの父(一説)。アポローン、パーン、ミダースの物語に関わる。第二はオムパレーの夫。
文化的足跡
トモーロス山は今日のボズダー山(トルコ)であり、古代リューディアの聖山であった。日本語圏では、ミダースの驢馬の耳の物語において、判定者として名が挙げられることがある。