ティキ
ティイ · キイ · ヘイ・ティキ
マオリ神話の最初の人間で、タネまたはトゥーが作った。転じて人型の彫刻、とりわけ翡翠の首飾りヘイ・ティキを指す。マルケサスでは創造神。20世紀北米の「ティキ文化」は西洋の想像である。
解説
概要
ティキ(Tiki)は、マオリ神話において、トゥーマタウエンガあるいはタネによって作られた最初の人間である。池で最初の女マリコリコを見つけ、彼女に誘惑されて、ヒネ・カウ・アタアタの父となった。
転じて、ティキは木、翡翠(ポウナム)、あるいは石で作られた人型の彫刻を指す。マオリ語では通常、首に掛ける翡翠の首飾りヘイ・ティキをいう。
神話・物語
ニュージーランド南島西海岸の伝承では、最初の人間はタネが作った女で、通常ヒネ・アフオネと呼ばれる。他の伝えでは、タネが最初の男ティキを作り、次いで女を作る。
トゥーマタウエンガがティキを作ったとする版もある。人の子孫はトゥーのものであるから、というのがその理由である。
マルケサス諸島では、ティキは神であり、人間の創造者とされる。ティキの信仰はマルケサスで最も盛んで、石の巨像がティキの名で呼ばれる。
図像と象徴
固有の古い図像として、マオリのヘイ・ティキがある。ただし本サイトは主画像を掲げない。ヘイ・ティキは首を傾げ、手を腿に置き、大きな眼を持つ人型で、その姿が何を表すかについては、胎児説、祖先説、ヒネ・テ・イワイワ(出産の女神)説などが提出されてきた。
ティキと似た彫刻は、神格化された祖先を表すものとして、ポリネシアの大半の文化に見られる。聖なる場所の境界を示すために置かれることが多い。この語はタヒチ語のティイ、ハワイ語のキイと同源である。
最初の人間の名が、人型の彫刻一般の名になったという事態は、彫刻が人間の原型を表すという理解を示す。
関わる神格・伝承
作ったのはタネまたはトゥー。妻はマリコリコ、娘はヒネ・カウ・アタアタ。
ハワイの『クムリポ』では、最初の人キイがカーネとカナロアとともに生まれる。
文化的足跡
20世紀後半の北米で、「ティキ文化」と呼ばれる流行が起きた。ポリネシア風の装飾を用いたバーやレストラン、彫像を模した器などである。ポリネシアの諸文化を混合した西洋の想像であり、本来の宗教的な意味とは切り離されている。
日本語圏でも「ティキ」は主にこの流行を通じて知られ、最初の人間の名であることは意識されにくい。
なおマオリの信仰は、今日まで続く生きた伝統である。