テペウ
テペウ · テペウ・ククマッツ · Tepeu
キチェ語で「主権者」を意味し、ククマッツとともに世界を創造した神。二柱で一つの創造の力として扱われる。語はナワトル語からの借用で、メソアメリカ諸文化の交流を示す。キチェの支配者の称号でもあった。
解説
概要
テペウは、キチェ・マヤ語で「主権者」(また「征する者」「勝利する者」)を意味する語である。
この称号は、『ポポル・ヴフ』の創造神の一柱であるキチェ・マヤの神ククマッツに結びつけられる。その全体の名は「主権者たる羽毛ある蛇」と訳される。
この称号は、テペプルのような多くのキチェの支配者にも用いられた。
語源
この語はナワトル語のテペウフに由来する。すなわちアステカ側からの借用語であり、キチェ・マヤの神名にナワトルの語が含まれていることになる。
メソアメリカ諸文化のあいだの交流を示す例である。後古典期のグアテマラ高地には、中央メキシコからの文化的な影響が及んでいた。
創造における役割
『ポポル・ヴフ』において、テペウとククマッツは水のなかに横たわり、光のなかにあった。二柱が語り合い、思いを合わせることで、大地と生き物と人間が生じた。
しばしば「テペウ・ククマッツ」と一続きに呼ばれ、二柱でありながら一つの創造の力として扱われる。
稲妻と火の神とされることもあるが、その性格は明瞭でない。「主権者」という称号が神名として独立したものであり、固有の職能は乏しい。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
称号が神名になるという点が、この存在を規定する。「主権者」という語が、創造神の名として用いられ、同時に王の称号としても用いられた。
神と王が同じ語で呼ばれることは、王権の正統性が神との連続性に基づくことを示す。
関わる神格・伝承
ククマッツと対をなす創造神。キチェの支配者の称号でもある。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることは少ない。『ポポル・ヴフ』の翻訳において、ククマッツと並べて言及される。