タパティー
タパティー · タープティー · Tapati
太陽神スーリヤと「影」チャーヤーの娘でタープティー川の女神。名は「熱」を意味する。サンヴァラナ王が十二年祈り続けて娶り、生まれたクルは『マハーバーラタ』のカウラヴァとパーンダヴァ双方の祖先となった。熱の女神が影から生まれる。
解説
概要
タパティー(Tapatī)は、ヒンドゥー教の女神で、太陽神スーリヤの娘、インド中部を西へ流れるタープティー川の女神である。名は「熱」を意味する。母はスーリヤの妻の一人チャーヤー(「影」)であり、熱の女神が影から生まれたことになる。月の王統の王サンヴァラナに嫁ぎ、その子クルは『マハーバーラタ』の両陣営の祖先となった。
神話・物語
太陽神スーリヤの本妻サンジュニャーは、夫の熱に耐えられずに逃げ出し、自分の影を身代わりに残していった。その影がチャーヤーである。タパティーはこのチャーヤーの娘であり、同じくチャーヤーの子であるシャニ(土星の神)とはきょうだいにあたる。「タパ」は熱を意味し、苦行によって生じる霊的な熱(タパス)とも通じる語である。
『マハーバーラタ』第1巻の挿話によれば、月の王統の王サンヴァラナは、森で狩りをしていたとき、タパティーを見て恋に落ちた。女神は姿を消してしまったが、王は十二年のあいだ祈り続けた。聖仙ヴァシシュタが太陽神のもとを訪れて娘を王に嫁がせるよう願い、スーリヤはこれを許した。二人のあいだに生まれたのがクルである。クルは、『マハーバーラタ』で戦うカウラヴァとパーンダヴァの双方の祖先にあたる。この挿話は、ガンダルヴァがアルジュナを「ターパティヤ」(タパティーの末裔)と呼び、その呼び名の由来として語り聞かせるものである。
タープティー川はインド中部を西へ流れ、アラビア海に注ぐ。インドの大河の多くが東へ流れるなかで、西へ向かう数少ない川であり、河口には港湾都市スーラトがある。
図像と象徴
本サイトの主画像は、タパティーの像である。
系譜と関係
スーリヤとチャーヤーの娘で、シャニのきょうだい。サンヴァラナの妻で、クルの母。
文化的足跡
タープティー川の水源の地ムルタイには、女神を祀る寺院がある。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。