タゲス
タゲス · Tages
エトルリアの宗教の創始の預言者。タルクィニイの畑の溝から子供の姿で現れたが老人の知恵を持ち、腸卜の術を教えるとたちまち死んだ。その教えは「エトルリアの教え」として書物になりローマに継承されたが、書物はすべて失われた。
解説
概要
タゲスは、古代イタリアのエトルリアの宗教を人々に授けたとされる存在である。共和政末期から帝政期のローマの著述家たちが伝えるところによれば、畑の畝から子供の姿で現れ、老人の知恵をもって人々に神意の読み方を教え、教え終えるとすぐに死んだ。その教えは書物にまとめられ、犠牲獣の内臓から神意を読むハルスペクスの術として、ローマに受け継がれた。
なお本サイトの分類では、エトルリアの体系に含めて扱う。
畑から現れた子
キケローやオウィディウスが、この物語を伝えている。タルクィニイの町で、一人の農夫が畑を鋤で耕していると、畝のあいだから子供が現れた。子供の姿でありながら、その知恵は老人のようで、タゲスと名乗った。農夫の叫び声を聞いて人々が集まると、タゲスは彼らに、犠牲獣の内臓から神意を読む術を教えた。そして教え終えると、たちまち死んでしまったという。大地から生まれ、教えを授けて消えていったのである。
エトルリアの教え
タゲスの教えは書物にまとめられた。犠牲獣の内臓から神意を読む方法を記した『腸卜の書』、雷の落ちる場所と時から神意を読む『雷の書』、都市の建設や神殿の位置、境界の定め方を記した『儀礼の書』である。これらはあわせて「エトルリアの教え」(エトルスカ・ディスキプリーナ)と呼ばれた。ローマはこの体系を受け入れ、内臓から神意を読むハルスペクスはローマの公の祭司となって、帝政期まで続いた。ただし、これらの書物はすべて失われ、その内容はローマの著述家たちの引用を通じてしか知られていない。
一人の啓示者
宗教の体系が、一人の存在の啓示によってもたらされたとされる点は、ゾロアスター教の開祖ザラスシュトラ(ゾロアスター)などとも比べられる。ただしタゲスは人間ではなく、大地から生まれた存在である。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、タルクィニアの「女王の祭壇」と呼ばれる神殿の基壇である。タゲスが現れたとされる土地に残るものである。
関わる神格・伝承
ウェゴイアとともにエトルリアの啓示者とされ、ハルスペクスの術の起源とされる。
文化的足跡
イタリアのピアチェンツァで見つかった青銅製の肝臓の模型(紀元前2世紀)は、タゲスが教えたとされる内臓占いの教材と考えられている。天空を十六の区画に分け、それぞれに神々の名が記されている。