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スヴァジルファリ
PLATE — SVAÐILFARI
NORÐR · 北欧神話
SVAÐILFARI

スヴァジルファリ

スヴァジルファリ · スヴァジルファーリ · Svadilfari

Dorothy Hardy(1909年) PUBLIC DOMAIN

北欧神話の牡馬。アースガルズの城壁を築いた巨人の馬で、牝馬に化けたロキを追い、八本足の馬スレイプニルの父となった。

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解説

概要

スヴァジルファリ(Svaðilfari)は、北欧神話の牡馬である。アースガルズの城壁を築いた巨人の所有する馬で、牝馬に姿を変えたロキとのあいだに八本足の馬スレイプニルを儲けた。

名は古ノルド語で「不運な旅をする者」あるいは「不運な旅人」と訳される。この馬にとって、あるいはその主にとって、その旅が何をもたらしたかを言い当てた名である。

登場する物語

『ギュルヴィたぶらかし』第42章が全体を伝える。神々が巨人から身を守る砦を求めていたところ、名を明かさぬ職人が現れ、一冬で築いてみせようと申し出た。報酬はフレイヤと太陽と月である。

法外な要求を神々が呑んだのは、ロキの助言による。馬スヴァジルファリの助けだけを認め、期限を一冬に限れば、完成するはずがないという読みだった。ところが馬は昼のあいだ城壁を築き、夜のあいだ巨大な石を運び、工事は驚くほど早く進む。夏まで三日を残して、城壁はほぼ完成した。

賭けを持ちかけた責任を問われたロキは、脅されて策を講じる。その夜、職人がスヴァジルファリを連れて石を取りに出たとき、森から美しい牝馬が駆け出してきた。牝馬はロキであった。牡馬は逆上して綱を断ち、牝馬を追って森へ入る。二頭が一晩じゅう走り回ったために工事は止まり、期限は過ぎた。

職人は激昂し、そこで正体——山の巨人——を現す。神々は先に交わした誓いを反故にしてトールを呼び、ミョルニルの一撃で職人を討った。

ロキはこの夜のために身ごもり、のちに八本足の馬スレイプニルを産む。この馬はオーディンの乗馬となった。

『ヒュンドラの歌』に収められた『短い巫女の予言』も、スヴァジルファリがロキとのあいだにスレイプニルを儲けたと簡潔に記す。物語の骨格が『散文のエッダ』以外にも伝わっていたことを示す証言である。

図像と象徴

異教期の造形は知られていない。本サイトが掲げるのは、ドロシー・ハーディが H・A・ゲルバー『北欧人の神話』(1909年)に寄せた挿絵で、牝馬に化けたロキに引かれて走り出す牡馬と、それを引き止めようとする職人を描いている。

この馬が神話のなかで果たすのは、労働そのものの体現である。城壁を築くのは職人ではなく馬であり、その働きを止めることが神々の唯一の勝ち筋になる。武器も呪術も用いられない。神々の側は、労働力を情欲によって無力化するという手段を選んでいる。

同時にこの物語は、神々が誓いを破る話でもある。『巫女の予言』は、誓いが破られ、約定が反故にされたことを世界の秩序が傾く徴として歌う。城壁の完成を阻んだうえで職人を殺すというこの一件は、その系列に属する。北欧神話が神々を無条件に正しい側として描かないことを、よく示す挿話である。

関わる伝承

主は名を伝えられぬ山の巨人。相手はロキ、子はスレイプニル。北欧神話において父を持つ馬はほとんどおらず、この馬は事実上、系譜の出発点として置かれている。

馬が超自然の力を持って働くという型は、ゲルマン圏の民話に広く見られる。一夜で建造物を築く工匠の話も、教会や橋の建設をめぐる伝説として中世以降のヨーロッパ各地に分布し、悪魔が請負人となる形をとることが多い。アースガルズの城壁の物語は、その型のもっとも古い記録の一つに数えられる。

文化的足跡

スヴァジルファリの名が単独で語られることは少なく、もっぱらスレイプニルの父として、あるいはロキが牝馬に化けた挿話の相手役として言及される。この挿話は、ロキという神格の両義性——性別を越え、子を産むという性質——を示す代表的な場面として繰り返し引かれてきた。

現代の翻案では、城壁の物語がロキの狡知を示す逸話として好んで取り上げられる。原典において目を引くのは、むしろ働き続ける馬のほうである。物語のなかでこの馬だけが、最初から最後まで約束どおりに働いている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

SVAÐILFARI
スヴァジルファリ
北欧神話
CREATURE
SLEIPNIR
スレイプニル
収載データなし
SVAÐILFARI
スヴァジルファリ
北欧神話
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資料

Wikidata
Q1125073 — 骨格データの出典
Commons
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