三山国王
三山国王 · 巾山 · 明山
広東省掲陽の三つの山を神格化した三柱の守護神。宋代に「国王」の号を賜った。潮州人と客家の移住とともに台湾と東南アジアへ広がり、その廟の分布がどこに彼らが住んだかを示す地図になっている。
解説
概要
三山国王は、中国の民間信仰の神で、広東省掲陽の三つの山——巾山、明山、独山——を神格化した三柱の守護神である。人物ではなく山そのものが神であり、宋代には王朝から「国王」の号を与えられたとされる。潮州の人々と客家が移住するとともに台湾や東南アジアへ広まり、その廟の分布は、彼らがどこに住んだかを示す地図にもなっている。
信仰
三つの山は、今日の広東省掲西県にある。地方の山の神に王朝が爵位を授けるのは、中国の国家祭祀でよく行われたことであり、在地の神はこうして国家の体系に組み込まれていった。三山国王もその一例である。
三山国王は、広東省東部の潮州・掲陽・汕頭の地域の人々と、客家の人々に信仰された。清代に多くの潮州人と客家が台湾へ渡ると、移り住んだ先々に三山国王の廟が建てられ、台湾には今日百を超える廟がある。シンガポール、マレーシア、タイの潮州人社会にも廟が見られる。
台湾において、三山国王の廟は潮州系・客家系の共同体のしるしとされてきた。福建南部(閩南)の出身者が媽祖や清水祖師を祀ったのに対し、潮州・客家系の人々は三山国王を祀った。清代の台湾では出身地ごとの集団が激しく争い(分類械闘)、信仰の違いはその境界とも重なった。
図像と象徴
三柱は冠と朝服をまとった王の姿で並んで表される。主画像は、台湾の清水調元宮の三山国王像である。
系譜と関係
潮州と客家の守護神で、媽祖、清水祖師と地域を分ける。
文化的足跡
台湾では、三山国王の廟の分布が移民史研究の資料として用いられてきた。
なお道教と中国の民間信仰は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。