サフ
サフ · Sah · sꜣḥ
オリオン座を表す古代エジプトの神。『[[pyramid-texts|ピラミッド・テキスト]]』で「神々の父」と呼ばれ、ファラオは死後オリオンへ旅するとされた。シリウスの女神ソプデトを配偶者とし、のちオシリスと同一視された。
解説
概要
サフ(Sah、sꜣḥ)は、古代エジプトの宗教における神で、オリオン座とうさぎ座の星々、および近隣の現代の星座に見られる星々を含む星座を表した。
その配偶者は、古代ギリシア名でソティスとして知られるシリウス星の女神ソプデトであった。サフはより重要な神格オシリスと結びつけられるようになり、ソプデトはオシリスの配偶者イシスと結びつけられた。
ピラミッド・テキスト
サフは古王国の『ピラミッド・テキスト』において、しばしば「神々の父」と言及された。ファラオは死後オリオンへ旅すると考えられた。
「見よ、彼は天のサフとして来た。……オシリスはサフとして来た」——王の死が、オリオンへの上昇として語られる。
第二百六十九章には、サフが天の南に現れ、天を渡る様子が描かれる。星の運行が、王の来世の旅として理解された。
オシリスとの習合
新王国以降、オリオン座はオシリスの星座とされた。オシリスが死んで復活する神であることと、オリオンが一年のうち一定期間地平線下に隠れて再び現れることが対応する。
ソプデト(シリウス)とサフ(オリオン)の対は、イシスとオシリスの対に重ねられた。天の二つの明るい天体が、エジプト神話の中心的な夫婦として理解された。
図像と象徴
固有の図像は存在するが、本サイトは主画像を掲げない。星を戴き、笏を持って舟に立つ男性として表される。
星が神であるという点が、この神格を規定する。オリオン座の形が神の姿として描かれるのではなく、星座そのものが神である。
関わる神格・伝承
配偶者はソプデト。オシリスと同一視される。子はソプドゥ。
エジプトの天文文書には「デカン」——三十六の星群——が記され、暦の時刻を定めた。サフはそのうち最も重要なものの一つである。
文化的足跡
ギザのピラミッドの配置がオリオン座の三つ星に対応するという「オリオン相関説」(1994年)は、学術的には支持されていないが、広く知られる説である。