サヴ
サヴ · サイヴ · Sadhbh
フィン・マック・クウィルの妻でオシーンの母。暗いドルイドの求愛を拒んで雌鹿に変えられ、フィンの猟犬に人と見抜かれて館に迎えられた。のち再び鹿にされ、七年後に山で見つかった子は鹿に育てられており「小さな鹿」オシーンと名づけられた。
解説
概要
サヴ(サイヴとも)は、アイルランド神話でフィン・マックールの妻となり、詩人オシーンを産んだ女性である。求婚を拒んだために暗いドルイドの呪いで雌鹿に変えられ、フィンの館で人の姿に戻ってフィンと結ばれたが、再び鹿にされて姿を消した。七年後に見つかった息子は、鹿に育てられた「小さな鹿」であった。
神話・物語
サヴは、マンスターの塚の王ボズヴ・ジャルグの娘である。暗いドルイドのフェル・ドーリハの求婚を拒んだために呪われ、雌鹿の姿に変えられた。三年のあいだ鹿として過ごしたが、フィンの館に入れば人の姿に戻れると知った。
猟の途中、フィンの猟犬ブランとスコローンは、この雌鹿を追わなかった。二匹はもとは人であり、フィンの従兄弟にあたる者たちが犬に変えられた姿だったので、鹿が人であることを見抜いたのである。館に迎えられたサヴは人の姿に戻り、フィンと結ばれた。
フィンが戦に出ているあいだに、暗いドルイドが再びやって来た。ドルイドはフィンの姿に化けてサヴを館の外へ呼び出し、疑わずに出てきた彼女を、また鹿に変えてしまった。帰ったフィンは七年ものあいだサヴを探し続けたが、見つけることはできなかった。
七年後、フィンの猟犬がベン・ブルビンの山で裸の少年を見つけた。少年は鹿に育てられていた。フィンは彼に「小さな鹿」を意味するオシーンの名を与えた。オシーンはのちにフィアナ騎士団で最もすぐれた詩人となる。
図像と象徴
主画像は、アーサー・ラッカムによる挿絵である。
系譜と関係
フィンの妻でオシーンの母。塚の王ボズヴ・ジャルグの娘。
文化的足跡
この物語は、ジェイムズ・スティーヴンズ『アイルランドの妖精物語』(1920年)の「オシーンの母」などの再話を通じて広く知られるようになった。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。