羅睺羅
ラーフラ · 羅侯羅 · 羅雲
釈迦の実子で十大弟子の一人、密行第一。母はヤショーダラー。出家の日に生まれたとも、六年後の成道の夜に生まれたともいう。父に遺産を求めて法を与えられ、教団最初の沙弥となった。嘘をつく癖を父に諭されて以後、戒律を厳守した。
解説
概要
羅睺羅(らごら、梵・巴 Rāhula)は、仏教の開祖釈迦の実子で、のちにその弟子となった人物である。母は釈迦の出家前の妃ヤショーダラー。十大弟子の一人に数えられて「密行第一」と称され、十六羅漢の一人でもある。
音写は羅侯羅、羅雲など、漢訳は障碍、覆障などがある。
生涯
誕生の時期については伝えが分かれる。パーリ語の伝えでは、釈迦が出家した日に生まれたとされる。一方、根本説一切有部の伝えでは、出家の夜に宿り、六年後の釈迦の成道の夜に生まれたとされる。
名の由来にも諸説ある。釈迦が子の誕生を聞いて「障碍(ラーフラ)が生じた」と言ったとする説では、父の出家の妨げとなる者という意味になる。誕生のときに月食があったので、月を蝕む魔神ラーフにちなんで名づけたとする説もある。
釈迦が成道後に故郷カピラヴァストゥを訪れたとき、ヤショーダラーは羅睺羅に「あの方があなたの父です。遺産を求めなさい」と告げた。羅睺羅が釈迦に遺産を求めると、釈迦は舎利弗を師として彼を出家させた。世俗の財ではなく法を与えたのである。羅睺羅は教団で最初の沙弥(未成年の出家者)となった。祖父の浄飯王が孫まで失ったことを嘆いたため、以後、父母の許しなく出家させてはならないという規則が定められた。
幼い羅睺羅には、戯れに嘘をつく癖があったという。釈迦は水を少しだけ残した器を示し、嘘をついて恥じない者の修行はこの水のようにわずかだと諭した。以後、羅睺羅は戒律を厳格に守り、密行第一と称されるようになった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ラオスの寺院の壁画で、托鉢の途中の釈迦が沙弥の羅睺羅に、嘘をつかないことの大切さを説く場面を描く。
系譜と関係
父は釈迦、母はヤショーダラー、祖父は浄飯王。出家の師は舎利弗。十大弟子の一人、十六羅漢の一人。
文化的足跡
九曜の一つ羅睺(ラーフ)は、日食や月食を起こすとされる星で、同じ字を用いるが釈迦の子とは別である。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。