カルプルイト
カルプルイト · カルパリク · Qallupilluit
北極の海岸の氷塊の近くに住み、水に近づきすぎた子供をさらうイヌイトの伝承の存在。緑のぬめった肌と長い髪、水かきのある手を持ち、上着アマウティにさらった子を入れて運ぶ。危険な海氷から子供を遠ざける役割を持つと考えられている。
解説
概要
カルプルイト(カルパリクとも)は、イヌイトの神話に語られる、北極の海岸の氷塊の近くに住む存在である。水辺に近づきすぎた子供をさらうという。この伝承は、危険な海氷の上で子供が遊ばないようにするなど、危うい環境から子供を守る役割を持つと考えられている。北米先住民の体系に含めて扱う。
姿
姿の語られ方は話によって異なるが、共通する点もある。緑色のぬめった肌、長い髪、長い爪を持ち、手には水かきがあり、鱗とひれを備えているとされる。主に女性が着るイヌイトの上着アマウティを身につけ、その上着はケワタガモの羽根でできていて、さらった子を入れて運ぶのに使われるともいう。二つのひれを持ち、その一方から獲物を麻痺させる甲高い音を出す。ピルティタミニクと呼ばれる術で姿を変えることもできる。「彼」と呼ぶ解釈もあるが、主に女性として語られ、さらった子供を使って長くなびく髪を保つとされる。
伝承
カルプルイトは北極地方の海岸に沿って水の下に潜み、氷塊の上で狩りをして、水に近づきすぎた子供をさらう。不思議な唸るような音を立てて子供を水辺へ引き寄せ、水に引き込むという。さらわれた子がどうなるかは話によって異なり、食べられてしまうとも、仮死のような状態にされてカルプルイトの若さを保つのに使われるとも語られる。
カルプルイトは、本来の姿のときには傷つけることができないが、賢いイヌイトの狩人は、呼びかけてアザラシや鯨などに姿を変えさせ、そこを仕留めて大きな獲物を持ち帰ったという。
食べ物に困った祖母が、孫を育てられずカルプルイトに託したという話もある。部族の狩りがふたたびうまくいくようになると、若い夫婦が子を取り戻しに行き、海藻につながれた子を見つけた。近づくたびにカルプルイトが子を波の下へ引き戻したため、二人は一晩じゅう隠れて待ち、日が昇ってから綱を切って子を救い出したという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
イジラクと同じく、イヌイトの伝承に語られる存在である。
なおイヌイトの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語は地域と集団によって大きく異なる。